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No.27

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 言いながら薄っぺらのノートで俺の後頭部を遠慮なく叩いた。鈍い音が頭の中で反響する。相反して乾いた破裂音が屋上に響く。それらが合わさって鼓膜を揺らすと、頭がぐらぐらした。
「暴力はよくないよ! 俺がこれ以上馬鹿になったらどうするの!」
「どうもしない。もうお前真性の馬鹿決定。ばーかばーか」
「ちょ、最初に馬鹿っていったほうが馬鹿なんだぞ! ばーかばーかばーか」
 むかついたので傍らに置いて意味を為していなかったノートで思い切り殴り返してやった。珍しく感情的な顔をして睨んでくるから少し嬉しくなってしまってもう一発叩く。ちょっと、いや、だいぶ調子にのっている俺。後悔する間もなくノートの比じゃない痛みが、旋毛を襲った。しかし今回は少し様子が違う。一瞬、目の前の真理に殴られたのかと思ったのだが、違う。その真理本人も俺と同じように頭を抱えて痛がっていた。となると犯人は一人しかいない。
「よしくんさあ、僕まで殴らなくてもいいんじゃないの?」
「二人ともおふざけが過ぎるよ――ね?」
 にこりと握りこぶしを振りかざしている善明に、俺と真理は必死に、というか懸命に首を縦に振った。
「わかってくれればいいんだよ」
 前にも思ったが、やはり善明みたいなキャラが怒らせると一番怖いらしい。手が飛んでくるとは考えても見なかったので、結構驚いた。いまだじんと痛む旋毛を気にしつつ、大小様々なへのへのもへじがこちらを見つめ返してくるページを、再び開いた。
嗚呼、なんていう青春。夏休みの映画とかになりそう。本人たちはいたって真面目なのに、周りからしたらどこかこそばゆいシーン。こんな青春したかった、みたいなあおりが絶対ついてる感じ。
まあ今回本人たちもしっかり恥ずかしさを感じているけれど。
「それじゃあつづ――」
作品名:No.27 作家名:戀絲つばき