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No.27

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「オーケーしーの」
「ええーっ」
 口を挟もうと思って挟んだのではない。脊髄反射だ。頭で考えるより先に驚愕の叫び声が口から漏れ出てしまったのだ。誰が驚かずにいられるだろうか。善明は照れてるのか怒ってるのか拗ねてるのか、あるいはすべてなのかわからない複雑な顔で俺と真理を見ていた。美映はいつも通り善明の腰のあたりに纏わりついていた。いつも通りのはずなのだが五割増しぐらいでオーラが輝いている。
「オーケーしたって、お前」
「ああ、あの話」
 善明ががしがしと後頭部を掻いた。どう言おうか迷っているようだった。
「あれだろ、ラブじゃないライクだって」
「ああ、そうだよ」
「いや本当きみ空気読めないよね……って話なんだけど。真理くんもそう思ってた?」
 真理は珍しい呆け顔の儘、二三、首を縦に振った。美映はいい加減落ち着いて座るかもう帰ってくれ。ちょっと真剣な話をするから。
「おれ、そういうすれ違いは辛いっていったでしょう」
 善明は俺の眼差しに気付いたのか美映を引き剥がし、隣に立たせて落ち着かせる。美映もキチンとそこに立ってにこにこしているだけである。お前は善明の犬か。
俺はベンチにパンとともに座る。ああ、なんか落ち着く気がする。
「そこは本当だったんだ。ただライクとラヴが逆、だった、わけで」
「はああ?」
 要は善明自身が持っている感情がラヴで、美映が持っていると思っていた感情がライクだったということ、か。
 その後の何とも歯切れの悪い長々しい善明の話を整理するとこういうことだ。
 中学に入り美映が本当に善明が好きだと気付いた頃から、美映は今のように好きだ好きだと喚くようになったらしい。想像は易いが、善明はそれがきっかけで逆に美映は自分のことがラヴではなくライクなのだと勘違いしたらしい。善明は驚くことに出会ってから一筋美映が好きだったというのだから耳を疑ったが、悪い意味で素直な善明ならわからないでもない。それでも片手じゃ足りないくらい肩思っているというのは驚異的な記録だ。真理が可哀想なものを見る目で二人を見つめていた。たいそう複雑でしょうね真理くん。
 善明くん曰く、
「だってそうだろ! 普通好きな男子に照れもなくべたべたできないだろ!」
作品名:No.27 作家名:戀絲つばき