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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  3話  『サイセイ』

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まぁいいさ。今は取り敢えず脳の隅っこにでも置いておこう。
もしかしたら、明日には忘れちまってるかもしれないからな。

今にも現実逃避注意報な俺には好都合だ。
それに、きっと、さっきの出来事等々はミナが教えてくれるだろう。

今はミナの怪我を早く治療してやらんとな。うん、それまでこの話は置いておこう。
俺はそう思うと少し気が楽になったような感覚を取り戻す。

隣を歩いているミナを見ると、微笑ましいと思うくらいまで回復を遂げていた。
そこで、ふと思った。

…でも、あの時、魔法のステッキとか持ってなかったし、それに何より魔法服も着てなかったぞッ!?どういうことだッ!?

よくマンガやアニメで、キラキラと光る玉の付いた魔法のステッキを持った女の子が呪文を唱えると華麗に変身して、そして、女の子は魔法服を身に纏い可愛らしい魔女っ娘へと変身を遂げるじゃないか!?そうだよな??

でも、実際ミナは着てないじゃないか!!一体これはどういうことだ??
それどころか、変身すらしてないじゃないか!!

これは、魔法使いの法則を脅かす緊急事態発生だッ!!っていうか違反だッ!!

冒涜だッ!!侵害だッ!!…実に嘆かわしい。←(かえでの影響1)

魔女っ娘って、敵→ステッキ→変身→魔女っ娘→バトルがデフォじゃないのか??
…違うのか!?…俺はそう記憶しているが。←(かえでの影響2)

まぁ、実際、現実に考えると、あれはマンガやアニメの中の世界でってだけで、仮に現実にいたとしてもマンガやアニメのモノとは大幅に異なるのかもしれない。←(やっと俺のリアルな考え)

だが…ッ!!
そこにロマンを求める者ことにこそ、真の魔女っ娘マスターではないだろうか!?←(暁の受け売り)

そうだろッ!?魔女っ娘こそが俺たちの癒しと萌えの原動力なのだッ!!魔女っ娘なくしてどうして萌えようかッ!?←(かえで&暁)

魔女っ娘は、キュートで萌え、思わず守ってあげたい!ぎゅってしたい!という欲情に駆られるだけでなく、俺たち戦士にもちゃんと魔法をかけてくれてるんだッ!!←(=^ω^=)??

何の魔法かって??
…決まってるだろう。…それはな。

(=ゝд)<夢とロマンに少年少女の心を永久に忘れない魔法だッ!!

魔女っ娘は俺たちの憧れであり永遠のアイドルなのだッ!!←(もうわけわかんね)

と心の中でしゃべりまくる俺。
するとミナが、

「どうかしたんですか?!ヒナちゃん!?」

黙り込んでいたせいか、俺のことを心配したミナが不安な表情で俺を覗きこんでいた。

「おわぁッ!!…べ、別に何でもない!…何でもないぞ!あははは」

いかんいかん。
つい変なスイッチが入ってしまった。…スイッチ??

「???」

ミナは頭の上にクエスチョンマークが大量に出てきそうな勢いな表情で首をかしげていた。

…あぁ、俺は最近『特に』思うことがある。それは、あいつら(かえでと暁)と同じ思考パターンとなってきているということだ。もしかして俺が気づかない間にあいつらに、あいつら色に染められてしまって、もう手遅れな状態になってるんじゃないか??

だとしたらこれはヤヴァイ!!…なんとかせねばッ!!

取り敢えず今後の対策案として、手始めにあいつらに会ったら1発殴っておこう。
…それがいいな。

そう思いながらまたミナと薄暗い住宅地を歩きだす。
あぁそうだ!!あの後のことを少し話すとしよう。
結界のおかげで外は無事だったが、バトルの影響で公園はメチャクチャでどうしようも出来なかった。…まぁ、とどめをさしたのは俺だが。

しかし、そこは魔法使いであるミナの腕の見せ所。ミナが呪文を唱えると一瞬、まるで巻き戻しボタンを押したように一瞬で修復してしまったのだった。…さすが魔法使い。

そして、その後、連れ去られたまどかちゃんを俺たちがいたすぐ近くで見つけた。
まどかちゃんは特に何かされた様子もなく無事であった。
俺がまどかちゃんに声をかけるとすぐに気がついて目を覚ました…まではよかった。

何でかって??
それは決まってるだろ。この状況をどうやって説明したらいいかとかまぁその他諸々、どうしたらいいか考えてなかったのだ。

この時俺は初めて自分の計画性のなさに心底呆れるのだった。……本当だぜ。
しかし、俺のこんな不安をよそにまどかちゃんはこう言い放った。

「うぅん…せ…先輩?って、あわわっ!雛月先輩じゃないですか!?どうしてこんなトコに…って、あわわっ!何で私、公園にいるんですか~!?まさか塾の帰りに公園に寄って…ということは私あれから居眠りしてしまったですか…。うわぁ!恥ずかしいです~!あの私いびきとかかいてませんでしたか?あぁ、大丈夫でしたか。よかったです。ほっ…でも、先輩が起こしてくれて助かりました。もし誰も来なくてこのままでしたら私朝まで寝ていたかもしれません。本当にありがとうございました」

「え…あ…まぁ、よかったな」

まどかちゃんの照れながら慌てながらのマシンガントークに圧倒されたが、まどかちゃんって…もしかして、……天然??

まぁ、そのおかげでこの場はこうして何事もなく済んだわけだが…。
その後は、ミナと一緒にまどかちゃんを家まで送り、今に至るというわけだ。

「しかし、結局あのお嬢ちゃんは何しに来たんだだろうな。まどかちゃんまで連れ去っといて特に危害を加えるわけでもなく…。うーん、わけわからん」

「そうですね。私にも彼女がどうしてこのようなことをしたのか理解できません。何で彼女があんな…」

ミナは何だか複雑そうな顔でうつむいていた。

「何だ?もしかしてあいつのこと知ってるのか?」

「え……あ、はい。向こうの魔法学校で一緒にお勉強した…私のお友達です」

「そうなのか…」

ミナのこの落ち込みよう…、ミナのことだ、この人見知りする性格で唯一できた友達なんだろう。

それは落ち込むわな、初めて出来た友達が自分の命を狙ってくるなんてな。
ただでさえデリケートなミナには相当ショッキングな出来事だったにちがいない。

「一緒に学校で過ごしていた時はとてもやさしくて、よく困っていた私を助けてくれてました。…なのに」

するとミナの表情が曇っていく。
こういう時、ミナに何て言ってやったらいいのか正直迷う。
…でもミナを安心させるには、

「まぁなんだ…。そいつにも何かわけがあって仕方なくとか…まぁ、事情がいろいろあったんじゃないか?」

こんなことしか言えない自分は何だか情けない。
でも、それを聞いたミナは少し顔を和らげて、

「そうですね。そうとしか考えられないです。……あんなことは」

「何だ、あんなことって?」

「え?あぁ、べべ別に何でもないです!きき気にしないでください」

「???」

何だ?ミナの奴…、急に顔を真っ赤にして…。
それに必死に平然を装うとして…。

「何だ?そう言われると余計気になるじゃねーか。ほら、このお兄さんに話してみな、うん?」

「えぇえ?あぁぁあぅぅ…別に大したことじゃないので気にしないでください。ほ…本当に大丈夫ですからっ!はい、この話はもう終わりです!いいですか?ヒナちゃん?」

いつになく必死なミナだな。