言い訳したい恋
わざわざ電車を乗り継いで、量販店で細い丈夫な縄を買った。
首を吊って死のうと思っていた。
でも、出来なかった。
だらけた生活を続けて、貯金も生きる欲求も尽きて、それでも終わりに出来な
くて、コンビニでアルバイトを始めた。
客層は思いのほか悪かった。
コンビニの店員など人間のうちに入らぬとばかりに、悪態をついては当然のよ
うな顔をして去っていく。
ドラマや漫画で見たような、現実感のない非常識な人間の数々が、すぐ近くで
こんなに存在していたことに驚いた。
なんでこんな奴らが平気で生きていられるんだ。
そう思って、自虐だと理解するまでに大分時間がかかった。
恥だとも情けないとも思わなくなった。
上を見ればキリがないが、下を見ても同じだった。
かつての友人にこんな姿を嘲笑されたりもしたが、それも受け入れた。
怒りも悲しみも湧かなかった。
今では旧知の人間が来店しても、何か思うところがあるのか顔や目を伏せて、
知らぬ振りをする。
何度もバイトを辞めようと思いながら、どこにも行く所がない事に気が付く。
千円にならない時給で、二年目を迎えようとしている。
もうすぐ、三十歳になる。