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ihatov88の徒然日記

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5 ソ・ラ・ミ・ミ、再び 4.5


 飯時での家族団らん。卓を囲んで食事をしながら、ただ流していただけのテレビのニュースを見ていた時のこと。ちょっとだけ痛ましいニュースに家族みんながテレビの映像に目が止まったのです。

   4歳の子供があやまって窓から転落……

 映し出された高層住宅の映像、確かに痛ましい事故である。
「親がちゃんと見とかないと」とダメ出しするヨメの視線は私の方に。おいおい、私も一応子守りはちゃんとしてるつもりだよ、なかなかヨメの基準を満たせていないけど――。
 うちも小さな子どもがいるので、親がちゃんと見てあげないといけないのには同意します。あやまって転落した子供もそれが危険であるという認識がないわけですから。

 そこで、我が家の長女(11歳)。このニュースを見てぽつり、

   そこまで反省せんでも……

 食卓に一瞬の間が生まれた。大人と子供では大きく解釈が違うのは明らかで、娘の言葉を聞いてじわじわと私とヨメのツボに効き始めた。
「『反省』って、ひょっとして?」
「たぶん間違ってるよな」
「あなた、突っ込んであげなさいよ……」
効き出したツボを抑えてこらえる大人。どうやら娘は、

   謝って転落した

ものと勘違いしている。いやあ、日本語って難しい。正しくは『誤って』ですよ。娘は素で思っていたようで、ツッコむ前にどんな様子かを聞くと、懺悔しながら落ちる様子でも想像していたようです。
 まあ学校など、他所で大笑いされる前に気付いたので本人にしてみれば良かったのではないでしょうか。そのあと両親(私とヨメ)ともにさんざん笑ってやりましたが。

   * * *

 それから夜も更け、子供たちも寝てしまいヨメと再びその話題になったのです。
「アンタも小さいときそんな勘違いなかった?」
うーん、考えてみたらいっぱいあるような。
「そういうアンタこそどないよ?」
と振ってみると、やっぱりみんなそんな勘違いあるみたいです。
「あたしはね、小さい頃『台風で電車が不通になってます』ってのを全部『普通』になってるのと思ってたわ、快速も特急も全部『普通』にね」
「はあ、ありがちありがち」
確かに台風来たら電車もゆっくり走りそうだ。ホンマにひどけりゃ走らせないのだけど。

「あ、俺もあるわ。そんな話」
 と言いながらヨメに自分の話をすると
「それはないやろう、ネタちゃうの?それ」
 とベタベタの関西ノリでダメ出しされました。

 どんな話かですって?これは本当の勘違いですよ。

 幼稚園児の頃、生まれて初めて歯が抜けたんです。そのあとすぐに歯は生えて来ました。当時のお友だちに「イ」の口をして歯を見せたら、
「あ、永久歯が生えて来とうで」
と教えてくれました。
「エーキューシ?」初めて聞く言葉にキョトンとした私。
「大人の歯のことそう言うんやで」
「へぇ……」
 この時初めて大人の歯=エーキューシという単語を覚えました。漢字はまだ知りません。もっと言えば子供の歯は何というのかは知りませんでした。
 そしてですよ、あとになって知ったことですがちょうどその時ローマ字を親から教えてもらい、読みを覚えた頃だったのです。ここで不思議であまりにくだらない融合が出来てしまったのです。

 大人の歯、つまりA級。子供の歯は……?これ以上は私も恥ずかしいので言いにくいですね。

「このハナシ、娘にしたらどんなリアクションするかな?」
ヨメに訪ねて見た。
「ウケるかも知らんけど、さんざんいじられるで」
 ついさっき、いじり過ぎて口も聞いてくれずフテ寝した娘を思い出した。
「ごめんな、そんな怒るなよ――」
寝室で寝てる娘に本人には届かないフォロー。結局ヨメにしょーもない弱味を握られた。

「へいへい、わっかりやんしたよう、だ」
 そう言いながら私はまだ片付いていない台所の後片付けを始めた。これもおとーちゃんの威厳を保つため、かな?
作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔