ihatov88の徒然日記
10 ミッション 5.8
『死語』の話題が上がったので、私も一つ。
今や日本はクルマ社会。詳細に調べていませんが、現在の運転免許の保有率はかなりのものなのではないかと思います。
ニッポンの産業の発展の一つが自動車。国の発展とともに車を保有できるようになり、当然免許の保有率も上がりました。
かく言う私も免許は、あります、それもいろいろ。今回は今から19年も前になりますが、『死語』と言って思い付いた話がこのタイトル。私が普通免許を取った頃とクルマに関するエピソードをお話ししようかと思います。
* * *
平成七年初頭、神戸を襲った大地震。当時兵庫県内に住む(今も兵庫県民ですが)大学生だった私は慌ててチャリンコ転がして近くにある、映画『阪急電車』にも出た沿線沿いの大学へ行くと「休校」の二文字。
「ま、そりゃそうやわな」
と変な納得をして家路に向かったのです。大学からの帰り道、辺りの建物がエラいことになっているのに改めて気付いたものでした。それだけ発生直後は何が何やら……だったということです。
それから私、というより街の生活が一変しました。家は無事でしたが水やガスは途絶え、モノのない不便な生活を強いられることになり、大学も被災地の中心にあったので年度末まで機能がストップ、おかげで単位いっぱいいただけましたが。
そこでオカンが、
「ココでは生活でけんから、あんた疎開したら?」
というわけで大学が斡旋する合宿の教習所に行くことになり島根県益田市に三週間ほど疎開して普通免許を取得して帰ってきました。
以上、普通免許取得のエピソードでした。
* * *
あれから19年、免許の更新をして思ったこと。私の免許には条件がありません。カミさんの免許には条件が二つ
眼鏡等 オートマ限定
とあります。
今の運転手はオートマ限定の方が過半数なのでは?自動二輪にもオートマ限定があると聞いてさらにビックリです。
今の人に「オートマでないクルマ」が分かる人いるのかと思い、職場の若手に聞いたら持ってる免許はみんなオートマ限定。ミッションのクルマどころか、
ミッション
という言葉を知らない人さえいるのです。そうですか、もはや死語なんですかねえ、ミッション。
免許取り立ての頃、貧乏学生の私にマイカーは当然ありませんが、時折父親のクルマを借りて練習したものです。その時のクルマがミッション車だったのです。平成七年頃でもクルマはオートマの方が多くなってました。ただ父親は戦前生まれの頑固親父ですので
「オートマは怖いから乗らん」
てなことを言ってわざわざミッション車に乗ってました。思えばそんな父がいたから私はミッション車に慣れっこになり、当時はほんの数ミリ鼻が高かったものでした。
それからミッション車は絶滅機具種に指定されるくらい巷で見かけなくなりました。先述のバイクもそうですが、通勤で乗るバスですらオートマなんですよね。時代は便利になりました。運転は楽な方が絶対にいいと思います。運転に払う注意は乗り物ではなく周囲にあるのは当たり前の話ですから――。でも運行前の点検はしましょうね。
* * *
そしてこの現代クルマ社会、オートマに乗らないという頑固親父はどうしてるかといいますと……。
先日父がクルマを運転するのをみてビックリしました。
左足だけあぐらをかいて運転
しているのです。確かに足は右だけあれば今の車は運転できます。そして父の一言
「オートマはやっぱり怖いわ」
現在の設備にダメ出して文句を言うのでなく、今与えられた状況に応じて対応を変える。頑固な割には柔軟なその気概に、私たち現役の労働者世代に対して背中で何かを教えてくれているような気がしたのは私だけでしょうか?
でもこれだけは言っておくよ、お父ちゃん。
このクルマ、サイドブレーキは左足で踏むねん……
以上、懐かしワードのエピソードでした。
作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔