小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ihatov88の徒然日記

INDEX|128ページ/164ページ|

次のページ前のページ
 

37 スローな旅行 10.3


 先日テレビ見てたら「新幹線開通50周年」といった内容のニュースをやってました。そうですか、今や身近にある新幹線ですが半世紀も前からあったのですね。子どもの頃おもちゃの新幹線を持ってました。初期も初期、いわゆる「0系」のそれです。小学生のころ、今から30数年前でしょうか、緑のラインの東北新幹線が開通したときのニュースは子どもながらに印象に残っています。将来的には北陸や北海道にも新幹線を走らせるそうです。すごいですね、ニッポンの技術ってのは。50年間死傷者を出した事故もないそうですよ、それもすごい。

 そんな文明の発展に水を差すわけではありませんが、本題に入ります。

   * * *

 タイトルにあるのは「スローな旅行」、新幹線は言ってしまえばその逆です。新幹線も、速い旅行の最たるものである飛行機もワタクシは好きです。だけど、交通網が発展するにつれて姿を消していった交通も少なからずあるということを書き留めておこうかなと思います。
 新幹線の発展に伴い「寝台列車」は見なくなりました。そりゃそうですよね、そんなに時間掛けなくても目的地に到着してしまうわけですから。以前はブルートレインという名前の列車が走っていたものです。新幹線にしてもワタクシの頭の中では未だに東京から博多までですし……。とにかく以前の交通は今ほど速くなかったということがいえます。

 その中でも特筆しておきたいのがあります。それは、フェリーです。
 フェリー、というのは「車両を積み込める」船のことだそうですが、車両の有無に関わらず時間はあるけど金のなかった学生時代によく利用したものです。今まで乗ったことのある航路は、京都の舞鶴から北海道(20時間)、神戸から北九州(12時間)、鹿児島から沖縄(24時間)挙げればキリありませんが、初めて外国へいった時も下関からフェリーに乗って釜山まで行きました。
 とにかく、フェリーの旅は安いんです。そして宿無しの旅行者なら一泊分得するのです。釜山行き、海外ですよ海外。10数年前は8500円でした、さらに学割が効きましたし。それとフェリーの中で寝ることができますし、風呂も食堂も充実しています。ただ、所要時間を見ればおわかりですが、とにかくゆっくりなんです。飛行機や新幹線と比べたらべらぼうに遅いのです。
 先日神戸から宮崎へ行くフェリーが就航したと地元の新聞にありましたが、それを見て日本の航路一覧をみてみたのです。学生のころ、フェリーで時間を掛けて金を掛けずに世界を闊歩していたあのと時と比較すると、フェリーの航路が激減しているのです。
 平成26年現在、かつては那覇から台湾まで行く船がありましたが、それもなく、台湾どころか石垣島さえも船では行けなくなったのです。そんなフェリーを始め、交通網の発展に伴いいろんなフェリーが姿を消しているのです。個人的に身近なところで言えば、自宅から見える明石海峡大橋。これが完成したことで明石海峡を渡るフェリー「たこフェリー」も廃船となってしまい、現在兵庫県の本土から淡路島へ125cc以下の単車が渡る手段はない(明石海峡大橋は高速道路のため)ということなのです。
 
 便利と発展が生み出した副産物と言ってしまえばその通りですし、たぶん採算が取れないからスローな交通手段は速い合理的なそれに取って代わったのだと思います。これも時代の流れなのでいささか仕方のないことなんでしょう、便利なことが悪いとはワタクシも全く思いません、ただちょっと残念なのが本当の気持ちでしょうか。でも、交通手段を選択することができたらいいなと思います。「旅行なんだからゆっくり行ってもいいんじゃない」と思うのはワタクシだけでしょうか。 

作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔