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ihatov88の徒然日記

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42 55キロメートル 11.5



 第3話「42.195km」の続きです。よかったら読んでね。
 42.195kmといえば皆さんお分かりかと思いますが、それはマラソンの距離のことです。近年では健康ブームなのか日本のどこかしこでマラソン大会が開かれています。ワタクシの住む神戸でも今年は11月23日に行われるようです。
 今年の春、ワタクシを無理やりマラソンに出場させた上司とであった時のこと。今回もこちらの意見はお構い無しにその神戸マラソンにエントリーをしたのです。その結果は……。

    落選

でした。ホッと胸をなでおろすワタクシと後輩、12年前の激走はもうたくさんです。そこで懲りないのがわが上司、体を鍛えるのがどうもお好きなようで頭も筋肉かというくらい、もちろん本人を前には絶対に言いませんし言えませんが。そんなことはさておき、今度は違うものにエントリーをしたのですよ、それが上記のタイトルです。え?マラソンより距離長いって?そうなんですよ、55キロですからねぇ……。

 結局これに参加することになりました。上司曰く
「走る大会とちゃうから、イケる。君ならイケる」
とだけ。それは何かといいますと、神戸では結構有名な大会である、

   六甲全山縦走大会

というやつなんです。名前には走るの字はありますが実際には走りません。これは神戸マラソンが行われるもっともっと前の昭和50年からあった大会なのです。その内容はといいますと、神戸市の西端・鉢伏山から宝塚まで続く六甲山系のすべての山を尾根伝いに登るというそれはもう過酷な大会なのです。身近なところでいうと当時の職場は宝塚だったので自宅から職場までの距離を歩くというのです、ちなみに通勤時間は2時間弱。
 そして高低差の移動は述べ4000メートル弱、越える山は10を越えます。そして移動距離は55キロ!ただし、制限時間は14時間ほどありますが、それでも一日で富士山を一合目から上って下りるような距離です。それでもって山ですから登ったり下りたりします。
 体力勝負に自信があったのはせいぜい20代のころまで、不惑を迎えたオッサンにそんなことできるのか?と上司に聞くと、
「ばっかもーん、わしゃお前より年上やで」
そんなわけで去年の今頃ですがその大会に参加したのです。午前五時集合、ホンマに歩ききれるのでしょうか……。

 意外と参加者は多く、老若男女山の格好をした人たちがゴールを目指して歩きます。時間を競うわけではありませんのでみんな山を楽しんで前へ、前へと行きます。途中ひざが言うことを聞かなくなります。各チェックポイントでは激励されます、疲れたら休んだり食事も出来ます。走りっぱなしのマラソンと比べてそれはそれで楽しいじゃないですか!
 そんなわけで最後、宝塚に到着したときは一歩の距離も出ないくらい足が憔悴しきっていましたが歩き続けること13時間、何とか55キロを歩ききりゴール。これには自分でも感動しました。歩けるんや、55キロ。でも坂は上りたくない、しばらく。
 長いことゴールで待たせていた上司とも合流し、打ち上げをする元気はなく後日ということで解散しました。あー、しんどかった。

 そして次の日のガクガクの膝で出社し、たまたま朝礼でのスピーチに当たっていたのでこう言ったのですよ。
「地震とかで電車や道が止まっても職場までは歩いて行けることが分かりました。ただ、行けるだけで仕事できるかは保障ありませんが……」
 その日の仕事の出来は言うまでもありません――。 

作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔