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ihatov88の徒然日記

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54 あれから20年、転機の日 1.17



 タイトルと日付でおそらく多くの人がお分かりかと思いますが、1月17日と言えばワタクシの住む神戸の人間ならおそらく忘れることがない日であります。ちょうど20年です。当時ワタクシは20歳だったので、ワタクシのこれまでのちょうど半分となります。

 当時は神戸と大阪のちょうど中間に位置する西宮市に住んでいました。大学生だったワタクシは15日の成人式に出席(「成人の日」は当時15日固定でした)し、高校の同窓会を甲子園球場の隣でして、次の日は振り替え休日で家庭教師のバイトに行って、その次の日の朝でした。1限から授業があって起きようと思った時でした。

   ゴゴゴゴゴ……

 メチャクチャ長いこと揺れたのです。それまで関西は「地震のない地区」として知られていたのもあり、それが地震であること、どこで、どんな規模の――、今思えば直後は電気も通らなかったので正確な情報はいつ、どこで得られたのかは今となっては思い出せません。ただ、揺れた。それも、強く――。

 本棚は倒れ、こたつはペチャンコになりましたが家と家族は一応無事のようでホッと一息すると、
「あ、学校や」
と言って慌てて支度して自転車を走らせました。
 途中阪急今津線の上を通る国道171号の陸橋が落ちて線路を塞いでるのを見て野次馬ができているのです。ワタクシもその中に入り、落ちた陸橋を上から見て
「これやったら電車走れへんがな……」と一息ついたあと、
「あ、学校や」
と言って電車の通らない踏み切りを越えて坂を登り大学の学舎にたどり着くと貼り紙がひとつ、
「休講」
 これを見て三度息をつく――。

「ああ、そりゃそうやわな」
 予定の無くなったワタクシは急に落ち着き、頭が回転を始めたのです。よう考えたら電車通学する学生は電車で来れません。そんな簡単なこともわからないくらい混乱していたのです。マンガなどで地震や火事があったら慌ててヤカンや枕持って逃げ出す絵が有りますが正にそんな感じです。
 周囲を見渡しながら家路についたのです。周辺の建物が軒並み崩壊しているのです。それで事の重大さが徐々にわかったのです――。

 地球規模で考えたら地球が咳払いをした程度の規模でこんな惨状ですから、人って無力なんだなと思い茫然となりました。それと、みんなひどい目に遭ったのにいつも以上に人が協力している事が今でも強く印象に残っています。

   * * *

 これからは個人的なハナシです。

 エラそうな事言ったって、どんだけカッコつけて自分を自分以上に見せて人と張り合ってもそれは微々たるものなんだと思うようになったのはこの頃からです。それまでは見栄っ張りで生意気な野郎だと思われてました、確認はとってませんが。でも、あの日以後身の回りの人間関係がうまく行くようになったので、ワタクシはそう思っています。

 あの時に失われてしまったものはいっぱい、あります。でも、その出来事を通して得たものも数多くあります。その経験を活かすことが今を生きる者の使命であるとワタクシは思います。
 生きていれば世の中思い通りにならないことや、狡い人間や世の中の仕組みに腹を立てたり苛立ったりすることが、いっぱいあります。しかしそんな時でも冗談の一つでも言ってホッとさせたいと思っています。ケンカするより、お互いが笑った方がやっぱり面白いですもんね。
 
 拙い文章ではありますが、ワタクシはいつもそんなことを考えながら思い付いた事を書き綴っています。ご覧になったのが何かの縁、読んで少しでも「ホッ」としてくださいね。

 ……あ、エラそうな事言ってる。

作品名:ihatov88の徒然日記 作家名:八馬八朔