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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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Wish プロローグ3

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まぁ、茜に言い寄るなんて物好きな男もそういるわけないか。

ってか、あいつに男なんか出来るわけもないな。なんせ学園一、女子に好かれる女だからな。

「おっと、こうしてる場合じゃねーな。早いトコ勘定済ませてこよう」

俺は、レジの方に急いだ。




「暇だ…」

CDショップからノープランで商店街にやって来た俺は、何もするわけでもなくぶらぶらと徘徊していた。

「しかし、家に帰ってもしかたないしな…」

明日香は、姉さんの家に行っちまったし、冬姫は、まどかちゃんと出かけるとか言ってたし…。たぶん、昨日のアレだな。

かえでは…。
まぁ、かえでの家に行ってもいいんだが…なんかなぁ。
どうせ、溜まったゲーム消費してる最中だろうし、行ったら行ったで対戦しようとか言い出しそうだからな。

さすがに、それは勘弁だな。

「まぁ、ここは大人しくウインドウショッピングでもしましょうかね」

そう思い、俺は暇潰しを兼ねて商店街を徘徊しようと止めていた足を再び稼動させる。
だが、その時だった。

「まぁ待てって、春斗。それはまだ早いぞ!」

「うわぁ!」

突然、俺の背後から声がしたかと思えば、きゅっと何かが俺の襟首を掴んで引き止める。
…な、何なんだ一体?!
考える暇さえ与えず、さらに、もう一つの機影物体が俺の横からすらりと姿を現す。

「何、驚いてるんだお前は?」

「って、何だテメェか暁ッ!!ビックリさせやがってチクショー!!ってことはだ。さっきから俺の襟首掴んでやがるのは…って推測するまでもねぇな」

俺は襟首を掴んでいる手を振り払い、そいつをこの目で確認する。

「ってやっぱテメェかッ!!凍弥ッ!!」

「やぁ、ヒナタン。やけに今日はダイナミックな驚き方だったじゃないか。何かいいことでもあったのかい??」

何事もなかったようにニカニカ微笑む凍弥。

「急に出てくれば誰でも驚くわ!…ったく、毎回急に現れやがって。凍弥、お前の先祖は実は、…幽霊とかだろ?」

「ははは。そうかもしれないな」

いやいや、そこは否定しとくトコだろ。
というか否定しろ。

「まぁそう怒りなさんな。せっかく俺たちが暇つぶしになるいい話しの種を運んできてやったんだからよ」

「俺たち?何だ、他にも誰かいるのか?」

「俺だよ、俺ーッ!!」

「その言い方はやめとけ。何かと誤解されるとまずいことになるぞ」

特に電話とか…。

「ホントお前には、失望するばかりだぜ。この俺が眼中にないとは…後でいろいろ後悔することになるぜ」

「何に…だよ!というか既に、日曜の休日にお前らと遭遇したことですんごく後悔してるよ」

「し…しどいッ!!春斗さんったら私とは所詮、遊び程度の存在としか思ってなかったのね。うぅ…そうか、私とは遊びだったのね!この人でなし~」

暁は、よよよ~と泣き崩れ、わざとらしいすすり泣きをしていた。
いや、やめてそれ。恥ずかしいから!俺たちまで誤解の視線が向けられる。

「まぁ、この馬鹿(暁)のことは置いておいてだな…。先程の話に戻そうか」

「そうだな」

「ふざけんな、こらああぁぁああッ!!!俺一人を放置するなッ!!!!すげー恥ずいんだぜこれッ!!!!」

「ならするな」

「右に同じ」

「お前らノリ悪い~ッ!そんでもって俺に冷たいぞ~ッ!」

「心配するな。可能な限り冷たくしてやるから」

「ぐはッ…!この鬼ッ!悪魔ッ!お前には血も涙もないのかぁぁ~ッ!」

男のくせに女々しく泣いたりわんわんと喚いている暁。
ちょっとは落ち着けって。ガキじゃないんだからそんなのみっともないぜ。

「まぁそれでだ。もう一度確認しておくぞ。お前、今暇だよな?」

「見ての通り暇人ですよ」

「なら話が早い。俺について来い」

「待て待て。俺は、まだ何をするのか聞いてないぞ!」

「百聞は一見にしかずって言うだろ?聞くより見た方が早いんだよ」

「また意味のわからないことを…って、聞いてないし」

凍弥は、既に俺たちの前方100m付近まで移動していた。
ってはやッ!!

「春斗に暁~早く来いよ。機を逸してしまうぞ~」

「ったく、しょーがねーな。どうせ何言ってもあいつには無駄だしな」

「そうだな」

ついでだがお前もだぞ。
自覚してるか?

「なぁ、一体何をするつもりなんだ?」

「さぁな。実は、俺もさっき会ったばかりでよ、何も聞いてねーんだわ」

「使えんヤツだな。だけどまぁこれだけは言える。何だかいやな予感がしてきたぜ」

こういう状況は、大抵あいつが何か悪巧みをしようってのが多いからな。
あぁ、かったる~。
俺たちは、仕方なく凍弥についてくのだった。




「さ~て、着いたぞ野郎ども~」

そう凍弥が指差し示した場所は、ここに通うヤツはまず忘れもしない虹ヶ坂学園だった。

「って、学校じゃねーか!何を悲しくて日曜のこの時間に学園に来なきゃならないんだよ」

「あぁ、まったくだぜ!こんな暇があるなら駅前のメイド喫茶でゆきタンとひめタンと暁ゲームしてた方が全然有意義だったぜ」

いやそれはどうかと思うぞ。
…っていうか通ってんかい!!ついでに何だその遊びッ!

「まぁ、そう言いなさんな。これから一仕事しようっていう時だからな。もっと楽しもうじゃないか」

凍弥は、何やら持参した鞄から不可思議なブツ取り出していた。
これは……火薬か?いや、花火かな。…まぁ、どっちにしてもだ。

「それなんだが…一応聞いてやる。何をするつもりだ?」

「ふふふ…。見てわからんかい?」

「わからんな」

「おいおい~!春斗…失望したぜ!これしきのことを理解できんなんてよ。我が友人としてこれ程恥ずかしいことはないぞ」

「何がだよッ!勝手に変な仲間にするな」

「まぁお前のことだ。どうせ何か悪巧みでも考えてるんだろ?」

「おやおや…悪巧みとは心外だな。ただちょいと悪戯というスパイスを加えるだけのことじゃないか」

どっちも一緒じゃないか…。
何がスパイスだ。

「まぁ今更お前に何言っても聞かないだろうしな。…しょーがない付き合ってやるよ」

「おぉ~さっすがヒナタンだ。話がわかるな」

さっき失望したとか言わなかったか?
それとヒナタンはやめろ。

「そうだな…俺もやってやるよ」

「それじゃ、作戦内容を伝えるぞ。一回しか言わんからよく聞けよ」

「あれ~俺はスルーですか~。一番先に誘われたはずだったんだがな~あはは…。はぁ…」

暁は、行き場のないやるせない気持ちで空笑いをしていたが、しばらくすると何だか残念そうに肩を落としていた。…まぁ何つーか、かける言葉も見つからない。

「さてお前ら、見ての通り明日は入学式だ。新しい季節の始まり、新しい出会いの予感を感じさせる重要な一日となるだろう。新しい新入生を迎えるために、我が生徒会はもちろん風紀委員や各委員会も明日のために準備をしているんだ!」

「我が生徒会ってお前は会長じゃないだろうが。それに、今日は生徒会は活動してないだろ」

「おいおい、何を言っているんだ。ちゃーんと活動しているぞ。それに、他の委員会は準備をしているのに生徒会は何もしないわけはないじゃないか」
作品名:Wish プロローグ3 作家名:秋月かのん