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涼子あるいは……

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ただし、誤解しないでほしい。推測と信頼を混同するな。君も含めて大人は愚かだ。実際、君らの愚かしさを見聞するたびに、私は知恵をつけてきた。私は大人を嫌う。心底嫌っている。心の底から軽蔑している。だって、君たちはわれわれのような子供を出現させてしまったではないか。君たちのドジの結果、このような存在が実現してしまったではないか。このようにしか生きられない子供たちが輩出してしまったではないか! だが、いいか、一人ひとりの子供はあくまで無罪だ! これからもたくさんの子供たちが正しい道を歩んでいくぞ。どんなことになっていくやら、もう知らんぜ、私は。ざまをみろ!
私個人は、先天的に大人になることを拒否されている。病の進行のせいで時間的にも大人になる前に存在を中断せざるを得なくなるだろう。その時は近くに迫っている。私には足音が聞こえる。
私は情欲と幻滅を経験した。存在を中断することはだれにとっても当然深刻かつ多様な問題を惹き起こすが、早々とこの二つを経験した私は、回答の出し方が、他と、やや違う。その内容は言いたくない。
私は無理やりに大人の秘密を知らされた。だからといって大人になったわけではない。私は、あくまで大人に対する絶対的な他者として、君らを批判するあとわずかな時間を享受したい。
では、先生、さようなら」
友彦はねじ曲がった背中を金吾に向けると暗黒の中へと消えていった。
金吾は、なんだか、もう友彦には会えないような気がした。友彦がこのまま闇から戻ってこないような気がした。本当はどんなところまで病気は進行しているのか。まさか、いまのさようならは、永遠のさようなら…?
闇の中で何者かの移動が始まった。友彦と太郎以外に、やはり複数の者が潜んでいた。奥の勝手口が開かれた。鉄製階段を踏む数人分の足音が聴こえた。
金吾は窓辺に立った。カーテンを引いて見下ろした。
太郎が友彦をおぶって砂利道をゆっくり歩き始めた。太郎は右手に傘を差してはいるが、友彦の背中や尻はたちまち雨にうたれていく。
作品名:涼子あるいは…… 作家名:安西光彦