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涼子あるいは……

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私の影響であなたが不良化したとしたらお詫びの仕様もございません。あなたのなかの触れてはいけなかった何ものかをこれからもどんどん掘り起こしてしまいそうな気がして、これ以上はいけない、と自戒しました。あなたのためにならない。私が今できる唯一のプラスのことは、あなたをこれ以上犯さないことです。どうかおねがい、私のことは忘れてください。私は泣きの涙であなたから離れます。こんなにこんなに愛しているんだけれど。だいすきなんだけれど。
真夜中を告げる時計の鐘がなり始めたと思います。シンデレラはやっぱり帰らなくてはなりません。急いで帰らなくては。二度と戻ってこれないところまで帰っていかなくっちゃ。
化けの皮を剥いだ私なんか、あなたに見せたくなかったな……
やっぱりあなたは、私の手の届かないところにいるべき人でした。私の手が届くところまで近寄ってきてはいけない人でした。
私にこれ以上罪を重ねさせないでね。
そこに、じっとしていてね。
さようなら、金吾くん。

読み終わった。人はこんなことまで伝えていいのか。人はこんなことまで知っていいのか。涼子の驚異の実態が明らかになった。これが涼子だったのか…… 
涼子が生きた地獄は、はっきりした。金吾への愛も、はっきりした。汚濁の海に酔いながらも陸に向かって必死の跳躍を何度も試みる涼子の姿が眼に浮かんだ。しかし最後の跳躍を金吾は抱き取ることができなかった。はかない希望ははかないままになった。決定的な諦めに落下していった。死なせてしまった。いくら悔やんでも悔やみ足りない。
頬にも胸にもズボンにも、あとからあとから液体が流れ伝い垂れ落ちる。金吾は静かに泣いていた。雨音と雷の音が永久に続くかと思われた。
友彦は興味深げに金吾を見つめていた。金吾は自分が観察の対象になっている状況を、ほとんど快感と見まがうほどのけだるさのうちに受け入れた。解剖されてもいいような徹底的な自己放棄の感じに浸っていた。それは、外から見ると、落ち着いた、達観した態度とみなせるかもしれなかった。観察結果を報告するように友彦が口を開いた。
作品名:涼子あるいは…… 作家名:安西光彦