小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

涼子あるいは……

INDEX|197ページ/217ページ|

次のページ前のページ
 

私はこういうことに無上の悦楽を感じる、いてはならない人間なのです。子供たちを破滅に導くことはわかっているのにやめられないなら、一刻も早く自らを消し去らなければ、と思いました。どこへ逃げてもその場で同じことをくり返すでしょうから。
自殺しようと思っても、私を殺させない強烈な意志が私の中に巣食っていました。生命そのもののような強烈な意志です。自らを殺させず、自らの思いのままに、全面的に、徹底的に悪を貫く何者かが私の中に居すわっていたのです。悦楽の権化であるような何者かです。私個人なんて、その瞬間的な応用問題に過ぎない。この何者かをなんと呼ぶべきでしょうか。あなたに質問しているんですよ? 
それは外部からの闖入者であり、私はその奴隷になっていたようにも見えますが、実は違う。支配被支配の関係なぞとっくの昔になくなっています。私はその何者かに犯されてしまっていて、すでに全面降伏してそちら側についています。吸血鬼に咬まれると吸血鬼になるように、もうその者になっているのです。悪魔とか何とか言っていてもそれを心底から否定してはいないんです。
私が本当に隠してきたのは、私の犯罪でもなければ私の不道徳や変態性でもありません。それらを深層ではちっとも悪いと思っていない私の本性こそを隠していたのです。いいですか、金吾さん。私は、本当のところ、ちっとも悪いと思っていないのです。
あなたのような坊ちゃんに、こんなこと、言いたくなかった。
こんな存在は近々抹殺される。社会的にもそうされるべきです。そうなる予感が今とても強いです。抹殺されるだろうという理由のひとつは私が妊娠したことです。あなたの子供であるはずはありません。妊娠は私があなたから去らねばならない決定的な理由になりました。この世から去らねばならない理由にもなりうるでしょう。体型が変化してきています。もうあなたに隠しきれない。十中八九、太郎君の子です。あとわずかの可能性があるのは友彦君と校長先生です。
作品名:涼子あるいは…… 作家名:安西光彦