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涼子あるいは……

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学校では優等生たらんとつとめました。教育大の付属中でも、松本深志高校でも生徒会長でした。勉強も運動も文句のつけられようはなかったと思います。伯母を置いていくことはできなかったので地元の大学に通いました。保健所勤めがいやになったとき、伯母が『私のことはもういいから好きなところで好きなように生きてごらんなさい。今まであなたに大変すまないことをしてきた。あなたの可能性を奪ってしまった』と手をついて謝りました。彼女は、まだ若いのに、私たちの住んでいた家を売って、養護施設に入ってしまいました。私は故郷を出ざるを得なくなりました。
しかしこの事情は、私がかねてから心に抱いていたたくらみを実行に移すきっかけになりました。そのたくらみとは、義父を感化した集団に潜入してそれをがたつかせ、出来れば殲滅することです。私は、西多摩地区でなければ就職しないという要望を都教委に出しました。幸い五小に就職できました。肩たたきをされた前任の方を追い出した形になり、すまない気持ちが後をひきました。アジールに入り込み破壊工作をすることは、校長の意図と重なったので、私は彼を利用しました。向こうも私を利用したのですが。しかし校長の履歴を見て彼も同根だと知り、校長の破滅も狙うようになりました。
一方で、私の性的欲望は、このような活動とは別個にうごめき始めました。伯母の顔を日常的に見なくなったせいなのか、自然に汐が満ちていたのか、東京に来ると封印がたちまち解けて、昔の私がよみがえりました。
義父の狂気は、私の努力にもかかわらず私の体内に生き続けていました。前からうすうすわかっていたことなのです。我慢の限界にきていたのです。悪夢に苛まれながらも、私、期待していたんです。
作品名:涼子あるいは…… 作家名:安西光彦