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ACT ARME9 ~人と夢と欲望と

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「終わった途端にそれか、お前も極端な奴だな。それだけ任務の遂行に全力注いでいると言えば聞こえはいいが、自分の体を考えずにやるのはただの馬鹿だぞ?」
呆れたように忠告する。No.4は、主以外の命令など耳を傾けたくもなかったが、体が動かないのでは仕方がない。おとなしく従うことにした。

〜No.7VS女子二人組
「さぁて、始めるか。」
愉快そうなニヤつきを顔に張り付かせ、手にした片手剣を軽快に振り回し肩に乗っける。二人もそれぞれ武器を構える。
それを見てNo.7はつまらなさそうに溜め息をついた。
「片方は腰が引けて、もう片方は明らかな戦闘素人か。つまらん戦闘になりそうだ。」
その挑発ともとれる発言に、アコはしっかりと乗る。
「なめるんじゃないわよ!」
その怒りに呼応して、No.7が立っている空間が爆裂する。しかし、No.7は難なくかわした。
「おお、怖い怖い。少しはやる気になったみたいだな。で?そっちのガキンチョはまだ怖気づいてんのか?」
視線を向けられ、ハルカは俯く。その目は怯えているというよりは、憂いているように見える。
「あなたは、どうしてこのようなことをしているのですか?」
やっと返ってきた言葉は、返答ではなく質問だった。
「あん?」
「先ほど、あの黒い人にはあの人なりの考えの上でこのようなことをされているとおっしゃっていました。あなたは一体」
「愉しいからだよ。」
ハルカがみなまで言う前に答えをよこした。
「俺たちのターゲットの対象になる奴は、大抵がろくでもない屑だ。普段他の奴らを見下し踏みにじってる屑が、いま自分の目の前で腰抜かして立つこともままならねぇで、震えながら必死に命乞いしてやがんだ。中には失禁して垂れ流す奴もいる。
それを今度は俺が見下しながらゆっくり弄って殺す。最ッ高の気分だぜ!まさに因果応報ってやつだよ!!」
眼だけではなく、瞳孔までも大きく見開き、興奮しながら話すその様は、人としての理性をどこかに置き忘れてしまったかのようだ。
「でもその人たちも死にたくないと思っているのに」
「大体お前はさっきからやけに屑の肩持ってるが、その屑だって他人を間接的に殺してんだぜ?下手すると、俺が今までに殺してきた人数よりもはるかに殺しをやったやつもいるかもなぁ!?いいか?あの屑共は、殺されて当然なんだよ!」
No.7はますます興奮し、大きく見開かれた眼は血走っている。
「でも・・・でも・・・っ。」
ハルカは今にも泣き出しそうな声で、しかしそれでもなおNo.7の狂気に屈することはなかった。
「そんなに俺の言うことが気に入らないなら、証明してみせろよ。そのご大層な武器使って力ずくでなあ!」
その言葉が終わる直前からNo.7はハルカに猛烈に突進してきた。
「ッ!!」
すぐさまハルカも武器を構え直し、応戦した。だが、猪のごとく突っ込んでくるNo.7の猛攻に、すぐに防戦一方となる。
「ヒャッハー!!」
「っきゃあ!」
力任せの一撃で大きく後ろに飛ばされる。この隙を相手は逃さないだろう。こちらに全速力で突進してくるはずだ。
ならば、こちらはそれを迎え撃たなければならない。今は戦いたくないと言っている場合ではない。ハルカはこみ上げてくる感情を必死に押さえ込み、クナイ手裏剣を一斉に放つ。
「暴風投刃(あからしま)!!」
弓のように上体を反らし、その反動と風の力を使い加速させたクナイ手裏剣の弾幕。真正面から突っ込めば、まず間違いなく避けられない。
だが、ハルカの目論見は外れた。それも根本から外れていたのだ。なんとNo.7はこちらに突進してくることなく、その場にただ立っていただけ。
そして、ハルカの飛ばしたクナイを残らず弾き落とした。
そしてすぐさま自分の剣を大きく振り、剛速球ピッチャーのように全力投球、いや、全力投刃してきた。
猛スピードで回転しながら唸りをあげつつ突っ込んでくる剣を、ハルカは紙一重でかわす。
なぜ相手が剣を投げたのかは謎だ。だがこれは好機であることには変わりない。ハルカは、相手がまだ武器を隠し持っていないか注意を払いながら一気に間合いをつめ込んだ。
No.7は新たに武器を取り出す素振りも見せず、ただニヤついていた。
「はっ!」
体に回転を加え一撃を放つ。後ろに跳んでかわされる公算が大きいが、着地したところを狙って攻撃すれば問題ない。
だが、またしてもハルカの予想外のことが起きた。No.7は避けずに腕一本でハルカの攻撃を止めた。そして動きが止まったところで蹴り飛ばす。
「炎精(ルドラ) エクスプロディオ!」
アコが爆破攻撃を仕掛けるも、No.7はひらりと飛んで回避した。
「遅ぇ遅ぇ。そんなんじゃかたつむりにも避けられんぞ!?」
No.7の挑発にまた乗ったのかどうかは定かではないが、アコは再び孔を込め始めた。
「そんなボーッとつっ立ってていいのか?隙ががら空きだぜ?」
アコからだいぶ離れた位置で忠告するNo.7。それが終わると同時にハルカが鋭い声をあげた。
「アコさん、危ない!」
その声に驚いて身を翻したアコ。直後、直前までアコがいた場所に先ほどNo.7が投げた剣がまるでブーメランのように戻ってきた。
剣はアコの腕を掠め、服の袖にスッパリと切れ目を入れた。覗いた素肌から赤い筋が浮かび上がり、血が流れ始める。
「なんてことすんのよ!この服、あとで弁償しなさいよね!」
切れた腕を見て、憤慨して怒鳴るアコ。いや、明らかにツッコミどころが違う気がするのだが。余裕なふりをしてごまかしているようにも見えないから、多分本気で言っているのだろう。
「お〜悪ぃ悪ぃ。まあそんな心配すんな。  すぐにそんな心配する必要をなくならさせてやるからよ。」
再びNo.7はアコに突進を仕掛けてくる。ハルカが割って入るが、あっけなく弾き飛ばされる。
今のアコの実力では、こいつの突進を止めることができない。ならばとにかく近づけないようにするしかない。
「炎精(ルドラ) ティフロットマウァ!」
アコの周囲に炎の旋風が巻き起こり、障壁となった炎はNo.7を退けた。その隙にアコはハルカの元に駆け寄り助け起こす。
「しゃんとしなさい!今はへこたれていられる余裕なんてないんだから!」
と、激を入れてみるが
「でも、私ではあの方を倒すことなんてできないです・・・。」
ハルカはしょんぼりとうなだれたままだ。
そんなハルカにアコはペシリと平手打ちをする。
「だからしっかりしなさいって言ってるでしょーが!いい?今はあーだこーだ言ってないで戦わないといけない時なの!」
そうは言ってもやはりハルカの思いは揺らぎ続ける一方だ。アコもわかっている。
あの男の、あの時の血走った眼。愉悦だけでも、憎しみだけでも足りない、あの如何とも形容し難い憎悪のような何か。あれは絶対正気の沙汰じゃない。憶測だが、きっとあの男の過去にはあいつの言う「屑」が関わっているのだろう。
だからこそハルカは悩んでいる。このままただ戦って倒していいのだろうかと。
アコは、もう一度ハルカの頬をペシリと叩く。
「ハルカの気持ちもわかるし、その気持ちは最もだと思う。でも、今だけは立ち上がって、お願い。戦うってことは、別に何が何でも倒さないといけないってわけじゃないんだから。」