SECOND HALF
それから、しばらく会社を休んだ。上司も理解してくれて、しばらく休んで良いと言ってくれた。だけど、必ずまた出社すると約束してくれ、でないと仕事が回らん、とも付け加えた。
アパートの2DKの部屋に一人でいても、やたらとカナのことを想い出すだけで、ひたすら悲しくて淋しいので、俺はまもなく仕事に復帰した。
会社ではできるだけ普通に振る舞っていたけど、職場のみんなは俺に気を遣ってくれているのがわかった。
家に帰っても一人。食事をしても一人。テレビを見ても一人。風呂から上がっても一人。朝、目覚めても一人。
淋しかった。カナはもういないんだ、ということをいやというほど思い知らされた。
日常のふとしたことでカナを想い出してばかりいた。例えば、食器棚の中で二つ並んだコーヒーカップとか、洗面台の歯ブラシとか。カナが使っていた物を見るたびに、それを使っていたカナを思い出して、二人のなんでもない会話とか、どうしても想い出しちゃうんだ。ほら、なにかの歌の歌詞じゃないけど、ホントになんでもないようなことが幸せだったんだなって、まさしくその通りなんだよ。そのときは全然意識してなかったけど、後から想うと、ホントにあの頃は幸せだったんだな、って想うんだ。
そんな生活をしているうちに、俺は精神的に参ってしまっていたんだろうな。なんだか、生きているのがいやになっていた。
作品名:SECOND HALF 作家名:sirius2014