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SECOND HALF

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俺の両親には、電話で報告した。聴覚に障害があることも、きちんと説明した。両親は、俺が気に入った相手なら誰だって大歓迎だって。
問題は、佳奈の両親だった。
佳奈の家族は、両親と8歳年下の妹の4人だった。父親は厳格な人で、佳奈が障碍者だからと言って甘えたりすることを決して許してくれなかったし、また周囲が佳奈を甘やかすことも許さなかったそうだ。
でも、それはハンデを持って生まれた彼女に対する父親としての愛情の一種だろうと思った。両親は子供よりも先に死ぬ。親がいなくなった後、残された子供が自活できるようにするのが親の務めだ。俺は、彼女の父親の態度は、ある意味で立派だと思った。
日曜日、俺はスーツを着て、きちんとネクタイを締めて、初めて佳奈の家を訪れた。
玄関には佳奈のお母さんが迎えて出て来て、俺は8畳ほどの広さの和室に通された。和室には、難しい表情の佳奈のお父さんと、俯いた佳奈が座っていた。お父さんは俺が部屋に入って挨拶しても、目を合わせようとしなかった。
なんか、まずい空気だった。
お母さんがお茶を運んできて卓の上に置くと、お父さんの斜向かいの席に腰を下ろした。
俺はお父さんの正面に座った。
そこから、俺とお父さんの攻防戦だった。と言っても、ほとんど俺は攻められっぱなしで、辛うじて最後の一線で踏みとどまっている状態だった。
お父さんの言い分は、俺から見て極端だった。
佳奈は耳が聞こえないし、話すこともできない。結婚なんかしても、続くわけがない。早晩別れることになるだろうし、そうなれば佳奈が傷つくことは間違いない。佳奈だって後悔するに違いないし、そもそも佳奈が不幸になることが分かっているのに、結婚なんか認められない。
お父さんの主張を要約すると、こんな感じだった。

作品名:SECOND HALF 作家名:sirius2014