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SECOND HALF

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カナのときは、なんとなくお互いに結婚しようか、みたいな感じになったので、特にプロポーズとかしなかった。そのことで、後々カナからはちくちく言われたよ。だからって言うわけじゃないけど、佳奈にははっきりとプロポーズしたかった。受けてくれるっていう自信なんか、これっぽっちもなかったけどね。
前もってそれとなく指のサイズを聞きだして、指輪を買った。
悩んだのは、プロポーズの場所だった。
建物の中とかでプロポーズすると、月日が経つと建物は無くなってしまったりするので、屋外の方が良いと、ある先輩から言われた。清川先輩じゃないよ。清川先輩はまだ独身だったし。
さんざん悩んだ末、俺が選んだ場所は夜景のきれいな高層のレストランでも、海を見下ろすこじゃれたカフェでもなく、新宿御苑だった。ここなら、いつでも来ることができる。いつでも来て、想い出すことができる。そう思ったんだ。
夏の夕暮れ時、太陽が木々の間に沈むころ、ベンチに座って、俺は佳奈に向かい合ってプロポーズした。
そのときの言葉は二人だけの秘密で、ここに書くわけにはいかない。恥ずかしいし。
俺の最後の「結婚して欲しい」という唇の動きを読んだ佳奈は、返事の代わりに俺に抱きついてきた。
俺は、俺の腕の中にすっぽりと入ってしまうこの小さな女の人を、なにがあっても一生守ると、その場で心に誓った。

作品名:SECOND HALF 作家名:sirius2014