北国ロマンス
「オイ、大丈夫か・・敦子~」
雪だらけになった敦子は強くどこかを打ったのか、しばらく動かずにいた。
「オイ、敦子、痛くないか?」雪を払いながら敦子の体をゆすった。
「あ~~ん、痛かった~~~」なんとか声は出るみたいだ。
「おばさんのくせに張り切るからだ・・・どうもなってないか?」
敦子はやっとのことで立ち上がろうとしたが、左足首が痛いことに気がついた。
「捻挫しちゃったかな・・ちょっと痛い」
「他には痛くないか・・?」
「大丈夫だよ。しばらくぶりに転んだだけだから、これくらい」
それを聞いて安心したのか克己は
「やぁ~、凄いこけっぷりだった。雪だるまが落ちてきたのかと思った」と言った。
「ひど~~い」
克己は散らばったスキー板や帽子を集めると敦子に渡した。
「残念だが、これで今日は終了にしよう。下まで行けるか」
「うん、大丈夫みたい。片足で滑っていくから」そう言って立ち上がると、本当に片足だけで滑って下って行った。
「片足でさえ、俺よりうまいじゃね~か、ちぇっ・・」
克己は敦子がつけたシュプールをたどって、追いかけた。
ホテルのゲートに着くと敦子は、すべて片付けて待っていた。
「なんだ、雪の上じゃ歩けるけれど、ここからじゃ歩けないのか」
「そう、ちょっと痛い。部屋まで連れてって」
克己は敦子の前に来るとしゃがみ、乗れよと背中を差し出した。
おんぶなんて久しぶりだと思い敦子は克己の広い背中に飛び乗った。
「重て~な、ちくしょう」
「ごめんね。次はダイエットするから」
「ダイエットはしなくていい。おっぱいが小さくなるから・・」
「そう?この、すけべ」敦子は克己の背中におっぱいがつぶれるくらい押し付けた。
克己が笑っている。