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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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北国ロマンス

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 敦子は下で待っていた。
「よくなったみたいね。早い早い」
「まぁ、ざっとこんなもんです」照れ笑いをして克己は敦子の前まで降りてきた。
「じゃ。もう1回滑ろう」
二人は先ほどとは違うゴンドラに乗り、さらに上のゲレンデまで行くことにした。
今度は結構な距離がある。ゴンドラから見たら、途中2箇所くらい克己にとってしんどい急斜面が見えた。
スキーヤーはまばらでスノーボーダーが多かった。中年はスキーで、若い人はボードと決まっているわけじゃないが、ほぼスキーヤーは年配が多かった。
 
今度は1本のコースだったので、一緒に滑ることにした。
敦子が先に滑り降り、上から克己が降りてくるのを待つというスタイルを何べんか繰り返した。
急斜面の場所にやってきた。間近に見るとかなりの傾斜だ。ボーダーが飛ぶようにカッ飛んでいく。凄いスピードだ。あれでこけたらたまったもんじゃないと克己は感心しながら出来るだけゆるい緩斜面を探して下ることにした。
 今度は先に克己が降りることにした。ようやくこけながら急斜面の下にたどり着くと克己は、上にいる敦子に向けて手を振った。それを合図に敦子は滑り降りて来た。

カービングで雪が舞い飛ぶ。削るように滑る敦子は、とても夜が一人で眠れない女には見えなかった。
「すげ~」克己は感心した。急斜面のこぶを上下運動で飛び越える。とても彼には出来たものじゃない。
克己は敦子に初めて感心した。
「やるじゃん・・」その時だった。
3分の2くらい下った所で、こぶに足をとられて前のめりに転倒した敦子は、人形のようにもみくちゃになりながら雪煙を舞い上げ転げ落ちてきた。
「やっちゃったよ・・・」克己は声にならない声を出して駆け寄った。
スキー板が邪魔でしょうがない。板をはずし、スキー靴のままゲレンデをぼこぼこに穴をあけながら敦子のそばに駆け寄った。

作品名:北国ロマンス 作家名:海野ごはん