笑顔がくれた贈り物
女の子が探していたクマさんは昼間自分が
買ったぬいぐるみのクマだったのだ
話の途中で見せてくれた女の子の財布の中には
500円しかお金が入っていなかった
こんな少なくてはこのくまのぬいぐるみは
とても買えない
それでもこの少女は妹のために 精一杯
お姉ちゃんでいようとしたのだ
まい「ぐすん・・まいが悪い子にしてたから
クマさん逃げちゃったのかなぁ」
2人はとても仲の良い姉妹なのだろう
その想いを無駄にしたくない 私の答えは
既に決まっていた 私は少女に優しく
語りかける
リサ「大丈夫だよクマさん直ぐ戻ってくるよ」
まい「ぐすん・・本当に?」
リサ「本当だよ だから少しの間目を
瞑っててごらん 次に目を開いた時には
クマさんが戻ってきてるから」
まい「うんわかった・・ねぇお姉ちゃん
クマさんちゃんと戻ってきてくれるよね?」
リサ「大丈夫こう見えてもお姉ちゃんは
魔法使いなんだから だからきっとクマさん
戻ってくるよ」
まい「うん!!」
私の言葉に女の子は嬉しそうに目を閉じた
女の子が目を閉じている間に私は 後手に
持っていたクマのぬいぐるみを袋に入った
状態でそっと女の子の足元に置いた
リサ「もういいよ 目を開けてごらん」
まい「ぅわぁああああ クマさんだぁ
お姉ちゃんクマさんだよ クマさんが
戻って来てくれたよ!!」
リサ「よかったねまいちゃん」
目を開けた女の子が目の前の袋を覗き込むと
そこには自分がずっと探していたクマの
ぬいぐるみがあった
女の子は満面の笑顔になり 私にお礼を
言ってくれた
まい「ありがとうお姉ちゃん お姉ちゃん
本当に魔法使いさんだったんだね!!」
リサ「ふふふっありがとう さぁ早く
あいちゃんに届けてあげて きっと待ってるよ」
まい「うん!! それじゃあね魔法使いの
お姉ちゃん 本当にありがとう!!」
花咲くような満面の笑顔で手を振りながら
女の子は家に向かって駆けていった
その笑顔を見ていると私の胸に暖かい
気持ちが広がっていく
クマのぬいぐるみはなくなったけど
私は後悔してない
だってその代わりにあんなに嬉しそうな
笑顔を見れたから
あの笑顔こそが私への一番の贈り物
リサ「うふふ 今度の休みにおじいちゃんと
おばあちゃんを連れてどこかに遊びに
行こうかな」
・・夕焼けがとても綺麗だった・・
・・私には夕焼けがお礼を言って
くれているように思えた・・
リサ「明日も良い一日になりそう」
・・私は笑顔でアパートへ帰って行った・・
・・ありがとうまいちゃん・・
・・笑顔がくれた贈り物・・