小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

火付け役は誰だ!2

INDEX|4ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

△二番、壁に耳あり覗くはメアリー▼



俺の生活場所は基本的に二つ。
学校と学生寮。
その内、家である学生寮は先程の通り長居するとなぜだか生傷が増える危険区域になっている。
警戒レベルはコードレッド、アマゾン原生林のサンクチュアリに真っ裸で叩き込まれる程度の危険な状態だ。
このサンクチュアリの例えが実際余り例え話になっていないのは言う事が出来ない上に笑えない、生傷が増える所などそっくりだ。
原因理由はまったく分からない。
かといって学校が心休まる場所かと言われるとそうとも言い難い、理由は説明するまい。
無論、話すまでもない理由だからだ。

では以上の背景をご理解いただけた上で今現在をご覧いただこう。


「おい火口火口やるなぁテメェ別クラスの女子ともう一緒にご登校たぁ…この裏切り者め!!」
「言っている理由が冗談なのかやっかみからなのか分からん。一応聞いておくが現実って知ってるかお前ら。」

教室に入った途端男子勢に詰め寄られカバンを置くことも出来ず尋問が開始。
なんとなく長くなりそうだからカツ丼を要求したい、または早く済ませて席に行きたい。

「で、誰と一緒だったんだ?」
「それ知らないで聞いてたのかよ!」
「噂話ネットワーク伝達網の限界って事だ火口よ。」
「今日一緒に来たってだけでも噂話になっている速度だけは圧巻だと言っといてやる。」

なすがままに襟首を掴まれ友人達に尋問される。
誰か、この誤解を解いてください。
とにかくここではっきりさせるべきは一緒に来たのは人間でも女子高生でもない一匹の野獣の上、交際関係とは無縁から亜音速でかけ離れているということ。
そこの要点を確認してから口に出す。

「まず別に女子と来たってだけで、付き合ってない上に、お前らが脳内で妄想しているような馬鹿馬鹿しい事は未来永劫一切起こり得ないと宣言しとくぞ。」
「バカ者!!お前、まさか『付き合ってる付き合ってないとかいう問題じゃない』と言い出すという事は、女子と隣を歩く稀少価値が分からぬリアル充実系ブルジョアか貴様!!」
「ギロチン!ギロチン台を誰ぞ持ってまいれ!!切腹等許さん!!尊厳一切残さず西洋式打ち首獄門じゃーッ!!」
「ここに縄ならあるぞ、首…いや、足首に結んで逆さ釣りぶらぶらの刑だな。執行猶予無しの無期懲役で。」
「待てよ俺大変な事に気が付いたぞ………俺たちの(付き合ってくれる)女子が居ないならむしろ男子でも大丈」
「今の誰だ危険発言!!会話の方向性一挙に危なくしやがって!!冗談はよせ!!」
「おい誰も信用出来ねぇ…この中の誰かに後ろを見せたら最後かよ!!お、俺は逃げるぞ!!」
「今のは完璧なまでのフラグだったな。」
「………とにかく席着いて良いか。」

目の前で繰り広げられるばか騒ぎの論点が逸れた所で手を上げて発言。
無事釈放され自席にたどり着いたのだった。
途中何やら訳のわからない方向に会話がすっぽ抜けたが我関せず。
席についてもしつこくニヤニヤと友人達一部は絡んでくる。
物凄く追い払いたいが、この先ノートや宿題を借りたりする可能性もある。
悔しいが無下には出来まい。

「で、結納はいつ頃?」
「ウェディングケーキに頭から突っ込ませるぞおい。横からじゃなくて縦だ、縦。」
「ケーキで入院、ケーキ入院か、初めての共同作業だな。」
「やかましい。」
「他人の結婚に割りいって幸福に包まれる…背徳的だ。」
「ダメだこいつ将来浮気するタイプだ。というか浮気趣味だったこいつ。早く何とかしないと。そしてお前が割りいるのは結婚以前にまずケーキだ。」
「だがそれが良い!!この鉄!!名前のごとく意思は変えぬ引かぬ省みぬ!!」
「縊死して遺志にしたくないなら黙ろうか。」
「我が人生に一片の悔い」
「言わせねぇよ。」

瞳をギラッギラ輝かせながら何か戯言を言い始めたので肘鉄で粉砕。
この鉄、こいつはただの変態にしかこの頃思えなくなってきたのだが間違いないだろうか。
変態ならばいくらどついても喜んでしまう、馬鹿は不死身か厄介な。

「で、これは先ほどとはまったくの無関係な質問だが、じゃあ火口の好みって何よ?」
「……また修学旅行の夜みたいな質問を朝にしおって。」
「ふふ、ここは高校。この鉄、法に触れないならば幾らでもグレーゾーンを潜り抜けハーレムエンドを築きあげる次第!!そんな俺が話題を選ぶとでも思ったか!!さぁ火口よ熟女からロリまで年齢に応じたニーズに合わせて俺が相手を特定してやろう!!」
「はいはい警察ね警察。」
「如何にもやる気のない対応!?」

……だってその質問、明らかにさっきから聞き耳を立ててる入り口の誰かさんやクラスの女子とかに聞かれたら嫌だし。
それ以前に聞き耳してるヤツは気づいてないのか、見えてるぞブラウンのお下げ。
あの消火器女……何のために来たのかはまったく分からないが、俺が変な事を言ったら怪我を負いそうな気がする、本能的にそう感じる。
そこで俺は黙秘権の行使を宣誓したい。
ただここで黙りを決め込めば鉄によって勝手気ままな解釈がされかねない。
よって黙秘に意味はない。
そうとなれば他は誤魔化すしか方法はない。

「で、そういう鉄は?」
「……俺には女性を選ぶことなど出来ぬ。」
「……女性から選ばれる事もされぬだろ。」
「るせぇ!!」

手を振り回してどつく鉄を避けながら入り口を見るとお下げは引っ込んだ。
理由は分からないが、また本能的に思う。
命の危険は今去ったと。

しかし次の瞬間に事は起こる。


「で、結局火口の好みは何なんだよ。」

この鉄の不用意な一言によって出来た、仲が悪い国同士の国境のような張りつめた空気は先生が教室に入ってくるまで続いた。



≡≡火付け役は誰だ!≡≡

作品名:火付け役は誰だ!2 作家名:瀬間野信平