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瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
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火付け役は誰だ!2

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「なんだありゃ、今回のゲームは本当にどうなってやがるんだ?」

この茶番劇は見られていた。
しかも一人だけでなく二人にも。
二人が持つのは望遠鏡、そう、双眼鏡ではなく望遠鏡だ。
まるで天体でも見るかのような大きさの本格的な望遠鏡一台。
覗き込むのはこの国では珍しい地の金髪をスポーツ刈りにした少年。
目までが澄んだブルー、実に日本人離れした容姿である。
それにしては先ほどの呟きは流暢な日本語だった、日本育ちかハーフなのだろうか。
そして先ほど監視者は二人と言った。
隣に立って額に手を当て無邪気に見ているのもこれまた金髪の少女。
肩まで伸ばした金髪に少年と同じ蒼い瞳。
それに誰とは言わないが誰かさん達とは階級が違うと言わんばかりの発育した胸、そこも相まってやはり日本人ではない。
何やら二人揃って西洋人形のような印象を与えるが、少年が気だるげな様子なのに比べ少女の目は生き生きしていた。
そして二人が立つのは火口達が住むマンションの屋上。

「聞いてるか?どうも今度はあいつら相手するみたいだけど勝算は?」
「あの動きは…流石にジャパニーズNINJAは違いますね!!強敵ですよ兄さん!!」
「いやどうしてテメェの目に入るまでにあの光景がそうなったのか理解不能だ。俺には少女二人を限界まで怒らせたバカの最後の足掻きにしか見ねぇぞ。さらにもう一つ。」
「なんでしょう兄さん!!」
「俺はテメェの兄じゃねぇ!!妖精とバディの関係なのに兄さん兄さん連呼すんじゃねぇブラコン!!」
「あらあら兄さんたら恥ずかしがっちゃって…お兄様の方が良いっていうならいつでも」
「…頭の側面望遠鏡で打ち飛ばされたくなかったら黙れ。」

やっぱりこいつも、今ここから垣間見えるバカ達と思考回路が同じなのだろうかとも思い、スポーツ刈り少年は長いため息をつく。

「それで、どうするかって聞いてたんだが聞いてたかこの単細胞。」
「大丈夫分かってるますよ!!兄さんが戦うときはジャパニーズSHURIKENを使うって事だね!!」

思わず望遠鏡でフルスイング、良い音がした。

「もう一度聞くぞ、死ぬ準備は出来てるか。」
「兄さん質問違う!!」
「何と質問しようとぶっ飛ばす答えしか返ってこなさそうだからな。」
「大丈夫、大丈夫。考えてあるから私に全部お任せあれ!!」
「作戦は俺に任せるって事で良いな。」
「全部無視です!?」
「元々無視だ。」
「何で!?」
「無駄に発育した胸の前で手を当てて考えろ。」
「兄さん兄さん恥ずかしいならわざわざ胸見てから目線逸らさなくても。言ってくれればタッチは三千円から兄さんは特別割引…」

もう一度望遠鏡でどつく、今度は剣道の突きのように。
ふげうっと淑女らしからぬ声が少女から聞こえた気もしたが少年は意に介さない。

「無駄に中身が詰まってるなら少しでも考え巡らせてエネルギー使えってことだ、分かったか。」
「に、兄さん…ジャパニーズケンドーの突きはそんなお寺の鐘を突くようなものじゃやらないんだけど。」
「黙って考えてろ、さもなくば除夜の鐘だ。」
「煩悩と共に魂まで召されそう!!確実に死ぬね!!」

少年の目が一切ふざけていないのを見て慌てる少女。
このまま何か真面目な発言をしなければ少女のタタキ(脂肪多目)~望遠鏡の風味を添えて~が出来上がってしまう。
ここまで考えた少女は一旦頭を切り替えて


「あれ…待ってください兄さん。」
「兄さん止めろつったろ。」

無駄口を叩きながらも少年は少女の変化に気付き口をつぐむ。

「何だ待ってくださいって、何か懸案事項でも有るのか。」

タッグを組んでまだ数ヶ月だが少年はまだ少女が真面目な所を見たことがなかった。
真面目な発言への期待と知らない相手の一面への恐れが半々といった少年に少女から言葉が飛んできた。

「…私と兄さんが兄弟じゃないって事は…義理!?つまりは結婚出来るのにできないという究極の昼ドラ展開ですよ兄さん!!」
「期待した俺が馬鹿だったあああああああああああ!!」

少年の手によって望遠鏡でゴスゴス連続技が決まっていく。
一切の手加減も情状酌量の余地もなしと見られたらしい。

「わ、我が…生涯に一片の悔い…な」
「テメェは悔いどころか邪念しかねぇだろうが!!」
「大丈夫!!この胸と頭には溢れる夢と希望が!!」
「何?お前の頭と胸にはみなぎる油脂と脂肪が!?」
「兄さんそれ全部油!!」

少年は火口達のやり取りを茶番劇と見なしていたが第三者から見たら恐らく彼らも茶番であろう。
やはりこのバトルロワイヤルには変人しか集まらないようだ。

「こんな場所でいつまでもいらんねぇからな、刑の続きは後でだ。」
「に、兄さんお姫様抱っこ…さもなくばおんぶするぞ!!」
「どんな脅しだ、テメェがおんぶしてどうするんだ。」
「妖怪泣き姫様。」
「妖怪子泣きジジィだろ。」
「私ジジィじゃないよプリンセスだよ!!」
「さっさと脳内天然桃色王国にお帰りくださいませ。」
「物語なんて無かった!?そりゃないですよ、『ヨウタ』兄さん!!」
「だから兄さんって呼ぶなってんだろ『シメルタ』!!」

最後まで言い争っていた二人だが、後ろ姿は似通っていた。
顔立ちだけでなく身長、ともすれば体重も。




まるで双子であるかのように。





一番、幕引き


作品名:火付け役は誰だ!2 作家名:瀬間野信平