火付け役は誰だ!2
「お昼時なのだよワトソン君」
「…遂に頭までミディアムになったの?」
「せめて焼きが回ったと言いなさいこの人形系め。」
「…まったく熱湯風呂漫才じゃないんだから。」
「頭も沸いてないわい!!」
彼らのバディが学校でなにやら夫婦漫才チックな事をこなしている間にも時は過ぎる。
そして食の欲求には抗えない。
要はお昼ご飯の時間である。
「ご飯なんにするかね。」
「…天然水に水道水のカルキ抜き。」
「ほう、クラゲみたいに水主成分に海水を漂いたいと?」
「…穂子の余裕が無いことは理解。」
「それが分かれば結構。」
「…せめてクラゲじゃなくて人魚で宜しく。」
「いやまだその話続いてたの?」
「…でもそっちは……ちょっと無理、おそらくなれてリュウグウノツカイ。」
「胸見て言うな表出ろ。」
リュウグウノツカイは深海魚であり体が扁平な、ここまで言えばもう説明は不要だろう。
「リュウグウノツカイなんかじゃありません!!れっきとした乙女です!!」
「…なにより圧倒的に女子力が足りない。」
「女子力ってあれだよね、ご飯作ってもらったり食べさせてもらったり!!」
「…全部受身に変化してる。」
「そうだね恋に受身は良くないよ!!」
「…何でその言葉と共にストレッチを始めるの?」
「いやほら当たって砕け散れって諺があるよね?」
「…粉々になりすぎでは…」
「だから恋も料理も女子力も情熱的に実力を出していけばなんとかなるよ!!具体的にはありがとうインスタント食品!!!これで私の胃は救われた!!」
「…迷子センターで女子力が待ってるみたいだけど。…それ以前に足りる?その量で?」
「知っているかい水の妖精…インスタント食品はね、地球上では三分間の命なんだよ。」
「…つまり食べ終わるのに三分かからないと。…そしてもう一つ、私の分は?」
「ずばりヒーローはただ一つ!!」
「…なるほど。」
ここから先彼女らがただ一つの作れる(可能性がある)インスタント食品の争奪戦を交わしたことは言うまでもない。
更に調理に使用しなくてはならない電子レンジが、未だに黒い煤を吹いて故障していることも言うまでもない。
どちらにせよ妖精達が昼食にありつけるのはまだまだ先のようだった。
五番、幕引き