火付け役は誰だ!2
△五番、飯を食らえど待つのは混沌▼
「…何で私の隣にチャッカマンがいるのかしら。」
「…その敵意三倍返しでクーリングオフしてやるさ。それと言いやすいからちゃっかり人から機材にするな、キラキラネームの方がまだましだわ。」
「三倍は法的金利外だから無効よキラキラチャッカマン!!」
「まず敵意の押し売りをするなよ悪徳業者!!そして事実誤認以前の問題だろその呼び名!混ぜるな!!」
今俺の目の前に見ゆるは学食、きっと多分。
学食とはこんなに人がごった返す物なのかは、まだ学校に慣れない一年の俺と覆水には分からない。
「おばちゃんカツ丼もう一杯!!」
「おい誰だ席立たずに空のどんぶり鉢ぶん投げたやつ!!」
「待て3メートル先の券売機行くよりコンビニ行った方が早いんじゃないか。」
「おしくら饅頭どころか杵と臼で潰されてる気分…」
ちらりと俺達の耳に入る言葉も過酷でしかない。
最後のやつの言葉ように杵どころか本当に臼で潰される位のダメージは負いそうだ。
嗚呼我能食昼飯乎。
と入り口でボーッと立っては居たのだが何故だか今俺の隣には覆水がいる。
「この前みたく行かないのか?ほらしゅるしゅるーって。」
「その冗談今回は本当に笑えないわよ。というか私は蛇か。」
「いや前回は見てたが他の女子と比べ比較的抵抗が少ないように」
「頭からあの集団に突っ込まれたいのかしら。」
「これまでの俺の冒険の書1が一発で消えてしまうから却下な。」
「ぼうけんのしょ 3はきえてしまった……」
「オイコラ俺を何回殺す気だよ。」
少なくとも頭からあの集団に突入したらロードローラーにプレスされたようになること請け合いだ。
きっと惨状は放送用語で表せないだろう、丸ごと放送禁止になる。
それ以前にそんなに危険なあの場に女子が、それも結構な数で参加していることが驚きなのだが。
「そういう放火魔は何でここに来てるの。」
「誤解しか招かない言い方を止めような、俺の名前は火口だ。」
「事実誤認は良くないことよ。」
「ミニオボエガゴザイマセン、頼むからそのSDカード出して振るな……それはともかくあれだよ、今日はなんかカレー天ぷら蕎麦がワンコインらしくてな」
「ヘルシーな蕎麦に何てことを……」
「痩せたい女子とガッツリ男子の夢のコラボレーションらしいぞ。」
「明らかに悪夢のコラボレーションにしか見えない!?女子の要望粉々じゃない!!」
「創造には破壊が付き物なんだろ。」
「…カロリー数知ったら暴動が起きるわね、まずメニューからして油の量を考えたくないけど。」
普段怒涛のボケを強大な武力を背景に繰り出す覆水ですら容認出来なかった料理らしい、安心しろ俺もだ。
もはや天ぷらとカレーが入った時点で蕎麦のヘルシーさは消えてなくなっている。
先日そこに更なる混沌をとカツのトッピング追加と親子丼のセット販売が試みられたらしいが、流石に500円では販売が無理だったらしい、ちょっと安心したのを覚えている。
「まず俺は普段あんまり気にしない、というか学食使わないしな。」
「でもワンコインの為にわざわざ……」
「何で節約せにゃならんかご存じで御座りますれよお嬢様」
「チャッカマン、日本語が見事なまでに崩壊してるわよ。」
「1ヶ月しないうちに家に三人分も口が増えたら食費はどうなるか火を見るより明らかだろ!!」
「何よ、私はお金払ってるじゃない!!!」
「買い出しにお前ら三人が行かないせいで全部俺持ちじゃごらぁ!!」
「え……物って取り寄せるものじゃ……」
「うんわかった、常識を求めた俺がバカだった。」
買い物について本気で悩み始めた覆水はさておき家計はまさしく火の車、車どころか元々自転車操業の所に食い扶持三人は破滅しか招かない。
覆水は押し掛けてきた際に持ってきていた資金を使い方が分からないので手をつけられない為実質的に俺の自腹。
「あっ分かった、じゃあ私とチャッカマンがお昼を一緒に食べれば良いんじゃない?」
「どうしてそうなったか60字で詳細に。」
「か、勘違いしないでよ!!別に一緒にお昼食べてる隙に闇討ちしてこの前負けた勝負の勝敗をうやむやにしてあわよくば勝とうだなんてちっとも思ってないんだ…」
「字数切れ、それ以上にさらっと闇討ちと言うな。」
「チッ、バレたか。」
「(隠す気があったのか)」
「まぁ半分は冗談として私がお昼とか食費出せばいいんでしょ?ただ私のお金でただ飯どこかで食べられるのも癪だから私も行くって話よ、なにか文句は?」
「はい!!どこまで冗談ですか!!!」
「一緒にお昼を食べるって所が冗談で闇討ちが本音……おっと」
「おっとじゃない全部しっかりきっかり聞こえてるわ。」
「という事で明日はお昼私の教室の前ね!!!」
「闇討ちされに?」
「そう!!いや違う!!」
「違わない!!!」
≡≡火付け役は誰だ!≡≡