火付け役は誰だ!2
「ふふ、あれはまた面白そうなお嬢さんね。お姉さん、だなんで本当に久しぶり。穂子からは様つけだものね。」
一人残った若奥様は一人ごちる。
彼女が見るのは彼女の『子』
視線の先にあるのは勿論下の公園ではない、火口の部屋にいる穂子。
シメルタはプロレスごっこから彼女の子供は男の子だと勘違いしていた。
更にこの若奥様が自分たちのバトルロワイヤルに関係しているなどと考えもしなかったため大事なことに気づかなかった。
屋上のドアは軋むのに何故シメルタは彼女に気が付かなかったのか。
シメルタが余程集中して穂子達を観察していたならまだしも声が聞き取れないのに苛立っていた時だ、集中も途切れている。
それなのにドアの音が聞こえないならば何らかの手をこの若奥様に見える何者かが加えたはず、この事にシメルタは気づかなかった。
「さてさて、今回の遊びも楽しそうだからもう少しこの街の料理教室受けようかしら。私ももう少し若ければ参加したかったわね。こうしてみると神様の力も立場も不便不便。」
そしてまた穂子も気づかない、瑞との格闘に明け暮れる穂子には先程から隣のマンションから監視されていることなど。
「さぁ見せてね、妖精達。あなたたちの成長を、あなたたちが畏れるカミサマに。」
そう言って妖精を束ねるカミサマは微笑んだ。
四番、幕引き