嘘でもいいよ vol.20 悪事
嘘でもいいよvol.20
私の心配をよそに、休日の夕方
純君は突然私の住む街に現れた。
嬉しいけど、どこで会えばいいの?
内心、困った。
でも純君に夢中な私は
家から少し離れた駐車場のある
コンビニを指定した。
以前、カーセックスしようかという
話をした時、車は奥さんも使うから
浮気を気づかれる恐れがあるから
車には乗せられないと言っていた。
私は自転車を力一杯漕いで
彼の待つ場所へ急いだ。
駐車場は向かいのマンションの
ベランダから丸見えで、
まだ、ほんのり明るい空を
恨んだ。
「こっち…」
純君がコンビニの裏手に歩いて行き
私を抱きしめキスをしてきた。
空の下で彼とキスするのも抱きしめられるのも初めてで、なんだか
恥ずかしくて、頬が赤く染まっているのが自分でもわかった。
腰を引き寄せられると、彼の
その場所は硬くなっていて
彼が押し付けてきた。
また私達はしたくて、したくて
仕方なくなっていた。
握り合う手と手をなかなか
離すことができずに
「またね」
「また、後でね」
私は純君の車のテールランプを
みながら、伊達眼鏡を掛け直し
彼の車が左折するまで小さく手を降り続けた。
二人の悪事が永遠に続きますように…誰かを悲しませたとしても。
騙し通せる。
作品名:嘘でもいいよ vol.20 悪事 作家名:momo