私と5つの物語。
♦***♢***♦
ティアナが目を覚ましたのは日が高い位置にあるお昼頃だった。
最近は病のせいで静かに眠れる事はなかった。
だけど久々にしっかり休んだおかげか、体がとても軽かった。
軽くなった体を起して、視線を隣で眠っていた青年に落とす。
ティアナの肩手に上から覆うように重なっていた青年の手はとても冷たかった。
自身の手が温かい事に気づく。
(ずっとここに居てくれたんだ・・・・・・)
ここ数日、妖精たちが消えてしまってずっと1人だった。
そのせいか青年の存在に心がホッとした。
青年の真っ黒な髪が元に戻った森に駆け抜けた風になびいた。
気づけば森は元の美しさを取り戻していた。
綺麗な空気を思いっきり吸い込み、嫌な事を全部吐き出すかのようにティアナは歌を歌った。
水面が細かく振動するような、儚くて、透き通った歌声。
森に大きくこだまする。
「とても綺麗な歌声ですね」
眠っていたはずの青年は目を覚まし、そのままの体勢でそう言った。
茶色い瞳がティアナをを捉えて優しく微笑む。
「ありがとう」
ティアナも青年に微笑み返す。
そして、昨日のお礼も言った。
「良くなられたようでよかったです」
そう言って、態勢を起こす。
初めて出会った人間。
ティアナは優しく笑う青年に不思議な感情を抱いた。
緊張感にも似た気持ち。
「それじゃあ、俺はこれで。体には気を付けてください」
起き上がって背伸びをし、青年はそう言い残して去ろうとした。
「待って!何かお礼を・・・・・・」
「どうぞお気になさらず。大したことはしてません」
目を細めて笑い、青年は木々の向こうへ消えてしまった。
(また会えるかしら・・・・・・)
そう思うティアナは自然に顔が笑ってしまった。
また、静かな森の風が1人になった彼女の頬を優しく撫でた。
ティアナが目を覚ましたのは日が高い位置にあるお昼頃だった。
最近は病のせいで静かに眠れる事はなかった。
だけど久々にしっかり休んだおかげか、体がとても軽かった。
軽くなった体を起して、視線を隣で眠っていた青年に落とす。
ティアナの肩手に上から覆うように重なっていた青年の手はとても冷たかった。
自身の手が温かい事に気づく。
(ずっとここに居てくれたんだ・・・・・・)
ここ数日、妖精たちが消えてしまってずっと1人だった。
そのせいか青年の存在に心がホッとした。
青年の真っ黒な髪が元に戻った森に駆け抜けた風になびいた。
気づけば森は元の美しさを取り戻していた。
綺麗な空気を思いっきり吸い込み、嫌な事を全部吐き出すかのようにティアナは歌を歌った。
水面が細かく振動するような、儚くて、透き通った歌声。
森に大きくこだまする。
「とても綺麗な歌声ですね」
眠っていたはずの青年は目を覚まし、そのままの体勢でそう言った。
茶色い瞳がティアナをを捉えて優しく微笑む。
「ありがとう」
ティアナも青年に微笑み返す。
そして、昨日のお礼も言った。
「良くなられたようでよかったです」
そう言って、態勢を起こす。
初めて出会った人間。
ティアナは優しく笑う青年に不思議な感情を抱いた。
緊張感にも似た気持ち。
「それじゃあ、俺はこれで。体には気を付けてください」
起き上がって背伸びをし、青年はそう言い残して去ろうとした。
「待って!何かお礼を・・・・・・」
「どうぞお気になさらず。大したことはしてません」
目を細めて笑い、青年は木々の向こうへ消えてしまった。
(また会えるかしら・・・・・・)
そう思うティアナは自然に顔が笑ってしまった。
また、静かな森の風が1人になった彼女の頬を優しく撫でた。