私と5つの物語。
♦***♢***♦
「モニカ。ちょっと手伝って」
その母の言葉で現実に引き戻される。
読み始めてからそんなに時間は経っていない。
母はおばあちゃんが死んでも明るいままだった。
それが母の長所であり、特技なんだろう。
本を机の上に置いて、一息ついた。
「あら、懐かしい本読んでるわね」
私の持っていた本の表紙を見てそう言った。
「お母さんも読んだことあるの?」
「ううん。1度もないわ」
とても懐かしそうな表情で本を見つめる母になにか思い出があるんだな、と察する。
そして息を吐いてから話し始める。
「この本は私が母さんに送った本なの。読書が好きだった母はたくさんの本を集めていたわ。だから、誕生日の日にこの本を買ってプレゼントした。その時、母はすごく喜んでくれたけど、私が大きくなってから気づいたの。母が読んでいた本はどれも世界の歴史に関わる本だった。つまり、この本は母が好きだった本のジャンルじゃなかったのよ」
(なるほど、おばあちゃんがこの本を大切にしていたのはお母さんからのプレゼントだったからなんだ)
母は本を手に取り、ペラペラとページを捲った。
そしてあるページを開いて私に見せてきた。
「母さんはね、この絵がすごく好きだって言ってたわ」
見せられたページには横たわる女性の手を握り締め、愛おしそうな表情で目を閉じる彼女を男が見つめてる絵だった。
たぶん、横たわっている女性が女神・ティアナだろう。
だとすると、この男性はティアナを助けた人だろうか。
「とても優しくて、温かい感じがするって」
「たしかに。私もこの絵好きだな」
「私も」
ふいに早く続きを読みたい衝動に駆られた。
「私、続きが気になるから、手伝いはパスで」
そう言い残して、母の持っていた本を取って、外へ逃げた。
なにか言っていた気がしたけど、モニカの耳には届かなかった。
「モニカ。ちょっと手伝って」
その母の言葉で現実に引き戻される。
読み始めてからそんなに時間は経っていない。
母はおばあちゃんが死んでも明るいままだった。
それが母の長所であり、特技なんだろう。
本を机の上に置いて、一息ついた。
「あら、懐かしい本読んでるわね」
私の持っていた本の表紙を見てそう言った。
「お母さんも読んだことあるの?」
「ううん。1度もないわ」
とても懐かしそうな表情で本を見つめる母になにか思い出があるんだな、と察する。
そして息を吐いてから話し始める。
「この本は私が母さんに送った本なの。読書が好きだった母はたくさんの本を集めていたわ。だから、誕生日の日にこの本を買ってプレゼントした。その時、母はすごく喜んでくれたけど、私が大きくなってから気づいたの。母が読んでいた本はどれも世界の歴史に関わる本だった。つまり、この本は母が好きだった本のジャンルじゃなかったのよ」
(なるほど、おばあちゃんがこの本を大切にしていたのはお母さんからのプレゼントだったからなんだ)
母は本を手に取り、ペラペラとページを捲った。
そしてあるページを開いて私に見せてきた。
「母さんはね、この絵がすごく好きだって言ってたわ」
見せられたページには横たわる女性の手を握り締め、愛おしそうな表情で目を閉じる彼女を男が見つめてる絵だった。
たぶん、横たわっている女性が女神・ティアナだろう。
だとすると、この男性はティアナを助けた人だろうか。
「とても優しくて、温かい感じがするって」
「たしかに。私もこの絵好きだな」
「私も」
ふいに早く続きを読みたい衝動に駆られた。
「私、続きが気になるから、手伝いはパスで」
そう言い残して、母の持っていた本を取って、外へ逃げた。
なにか言っていた気がしたけど、モニカの耳には届かなかった。