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Da.sh Ⅲ

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 顔がひんやりとして気がついたのは、パトカーの中だった。
 後ろのシートで、隣には制服を着た警官が座って、濡れタオルを顔に当てがってくれていた。
「おっ、気がついたか。救急車を呼ぼうとしたが、主任が、とにかく署に連れて行け、ということで・・・ざっと見たところ、背中と脚が打たれて紫色になっていたが、骨折の心配はないようだ。あとは顔に少し傷があるぐらいだ、それと痣が。喧嘩慣れしてるんだろうな、重傷を負わないように、急所ははずされている。それにしても、ひどい目にあったもんだ」
 主任と言うのは、正源寺のことである。
「他の連中は?」
 吐く息に、かろうじて言葉らしきものが混じっている、というような発声だった。

「逃げられた。見張りが立っていたんだな。パトカーが近づく前に感づかれて、あいつらバイクに飛び乗って、行ってしまったよ」
「俺の、原チャリ」
「取り調べが終わってから、取りに行くんだな」
「取り調べ? ほかに、取っ捕まったのは?」
「仲間がいたのか?」
 明良は、自分で濡れタオルを顔に当てたまま正面を向き、それ以上喋らなかった。
作品名:Da.sh Ⅲ 作家名:健忘真実