Da.sh Ⅲ
龍神会の中で最下会員の明良は、入会した頃にはちやほやされて、面白い体験をさせてもらっていたが、2カ月ほどたった頃、金を集めることを強要されるようになった。クラスメイトや下級生をカツアゲしたり、違法に録音したCDを販売することを割り当てられたのである。
面倒見、という名目で、暴力団に納める月会費の為である。
「組織にさぁ、ひとり頭3000円、納めなくっちゃなんないんだよ。龍神会には、お前らも含めて33人いるだろ、新米のお前らで、なんとかしてくれよなぁ」
「先輩、そんなに納めて、何か得することがあるんですか」
明良はツッパリ言葉にはなじめない。グループ内では、浮いた存在になりつつあった。
「知るっかよッ。まぁ、そんなこたぁ、どうでもいいだろうッ。とっにっかっくっ、お前ら下っ端で、締めてぇ99000円だ。なんとかするんだぜ!」
下っ端と言うのは、明良を誘いこんだクラスメイト、合わせて4人のこと。
「どうするよ」
お互い、顔を寄せ合った。
「25000円かぁ、しかもこれから、毎月だろぅ」
「抜けようぜ」
明良は思案した末に、キッパリと宣言した。
「そんな悪事には、手を染められねェ。俺の仁義だ」
「だけどもよぅ、脱会には、リンチ、が付きもの」
みな沈黙した。
「お前ら、どうしたいんだ? カツアゲか? それとも抜けるか、だ」
「辞めれるもんなら辞めたいよ。だけどさぁ、痛い目には、あいたくないよな」
再び、沈黙。
「よし! 春樹、圭吾、慎也、耳、貸せ」
明良は3人に、ある作戦を教えた。きっと、うまくいく、と踏んでのことだ。
「だけどよぅ、ちょっと卑怯じゃねぇか、それに失敗したら、余計にひどい目にあわされる」と、春樹。
「足を抜く為なら、かまわねぇと思う」と、圭吾。
「よし、決まりだ」
4人は団結を約束した。