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Da.sh Ⅲ

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 三つ巴のシマ戦争が始まったのは、平日の昼下がりのことだった。
 初めは、稲山会と家吉会が示し合わせて山田組の事務所を急襲したのである。事務所内にある器物をこわし、東京から早く出て行ってしまうことを強要した。
「ここには、君らの居場所はないんだなぁ。さっさと出て行って、本拠地の大阪か神戸か知らんが、そこで好き勝手にすればいいだろう? 我々の武器のことを警察にタレこんだのは、君たちだな?」
 銃口を向けて言う。
「何ぬかしけつかる。さっさと出てくんは、ワレの方やろうが。わしらなめとったら、承知せえへんぞうっ。オイお前ら、こいつら、いてこましたれっ」
 椅子を蹴立てて立ち上がった組員のひとりが、すばやく天井のダクトから取り出してきた二振りの日本刀を、組長に手渡した。

「ここにもサツの奴ら来よって、金庫に入れとった拳銃、全部持っていきよったわ。せっかく手に入れたっちゅうのに、大損こいたやんけ。タレこんだんは、おんどれらやろうがぁ! いてまえーっ」
 その言い分が真実であるらしいと悟った、稲山会と家吉会、それぞれの組員がお互いを疑い始めののしり合うと、三つの組が入り混じっての大乱闘となった。

 怒号が飛び交っている、組事務所が入っているビルの周りには人垣が出来て、伸び上がるようにして見ていた人々は、暴力団同士の争いだと知ると、そそくさとその場所を離れて行き、付近からは人影が消えていった。
 周辺のビルでは次々とシャッターが下ろされ、その中で息を潜めるようにして外の様子を窺っている人々がいた。
 その中の誰かが通報したのであろう。パトカーが到着した時には、踏み場もない事務所の中で、数人が壊れた器物の下で意識を失って倒れており、切られた部位を押さえて呻いている者もいた。そのそばでは組長が血刀を提げて、荒い呼吸をして立っていた。彼らは、現行犯逮捕された。
 
 目撃者からの情報で、血のついた刀やナイフを持って走り去る人物がいたことを聞き出し、非常警戒線が広範囲にわたって張られ、同時に外出禁止令を発動。パトカーが街中を走り回って広報した。
 警視庁から派遣された機動隊員が、点々と続く血痕を追う刑事と行動を共にし、閉鎖された周辺を捜索するとともに、彼らの協力を得て、残る二つの組事務所も家宅捜査が行われている。
 そんな中、正源寺も部下たちと共に血痕をたどっていた。ひとりでも多くの組員を挙げ、出来ればこの機に一掃したいとも思っている。
作品名:Da.sh Ⅲ 作家名:健忘真実