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Da.sh Ⅲ

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 関東連合傘下となっている龍神会とトラブったのは、首都高速都心環状線を周回するために、芝浦パーキングエリアに仲間が集結しつつある時であった。
 走りのエリアは、多くのメンバーが都心に居を移してきたこともあって、首都高や湾岸部に変わってきていた。

「おまえら、ここ走るのか?」
 自分たちの愛車を点検しながら言葉を交わし笑い合っていた時に、周囲を数台のバイクが取り囲んで、その中のひとりが声を掛けてきたのである。
 明良たちは立ち上がって、警戒心をあらわにした。
「競争しないか? お前たちの代表ひとりと俺との一騎打ちだ。負けた方は、二度とこのコースを使わない、という条件だ」
 明良が前に出た。
「やらないよ。ジコるようなことは、しない」
「あれっ、明良じゃねぇのか。それとォ、圭吾に春樹もいるじゃんか」
 ヘルメットのシールドを上げてバイクから降りてきたのは、龍神会の哲であった。
「こいつらさぁ昔、遊んでやったんだ。明良なんざ、反吐って涙流してやがんだもんな、ぁ明良」
「そこ開けてくれよ。俺たちもう、行くんだ」
 明良は、仲間に頭を振って、準備を促した。だが哲は、動こうともしない。
「そうあわてんなって。久し振りに会ったんじゃねぇか。積もる話でもしようよ」
 哲は自分の仲間である龍神会のメンバーに向かって、下卑た笑いで示した。
「どっかの会に入ってんのか? おまえら」
「いや」明良は続けた。「族には属していない。誰にも縛られないグループだ」
「おれ達も自由なんだぜ、なぁ」
 哲はメンバーの同意を求めた。
「自由だよ」と各自うなずいている。

「どうだ、龍神会とは言わない。関東連合に、お前らまとめて加わらねぇか。楽しいことがいっぱいあるんだが、ねぇ」
「それで、どういったメリットがあるんだ?」
「メリット? 自由に好きな所を好きなように走り回れる。万が一パクられたとしてもだな、守ってもらえるんだ」
 明良にはピーンときた。要するに、暴力団との関係をほのめかせているのだ。
「考えておく。そこ、開けてくれ」
作品名:Da.sh Ⅲ 作家名:健忘真実