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Da.sh Ⅲ

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 週末の走りに、「邪魔にならないようにするから、一緒に走りたい」と、時々ではあるが、俊介が加わるようになった。最高出力が他のメンバーのバイクよりも劣っている俊介のバイクだが、メンテナンスに詳しい俊介は、全員から歓迎された。
 スピードを競うつもりはない。走ることが好きな仲間が集い、お互いの存在を感じて走ることが、愉快なのだ。
 暴走族のつもりはないが集団で走る姿は、見る者によっては忌み嫌われる。次々と竣工していく、首都高を走ることもあるが、テリトリーとしては、よく知っている国道299号線から53号線にかけての領域が多かった。


 俊介は、ライダーという趣味と勉学を両立させ、横浜市立大学医学部に入学することができた。大学近くの賃貸マンションを借り、ひとり住まいを始めたのである。
 東京湾の近くに位置し、バイクを乗り回すには、うってつけの場所でもあった。大学の授業に興味を持てない代わりに、バイクにはますますのめり込んでいった。一応両親の希望に沿ったのだから、という気持ちもあって、これからは好きなことに没頭していくつもりである。
 医者になるつもりは、ない。
作品名:Da.sh Ⅲ 作家名:健忘真実