殺し屋少年の弔い
「名前は辻原、辻原次郎だ。階級はどうでもいいだろ。」
「本職は金ざ……。」
「知ってるさ。何で知ってるか気になるだろ?」
にやにやと辻原が笑う。
「鑑識したヤツが友人でね、酒の肴でぽろっとな。全く笑えるだろ?」
全く笑えない。
「しかし、この中には刑事殿でも立ち入り厳禁と言われておりまして。」
「ああ、別にその中には興味ないよ。さっき言った友人が全部教えてくれたからな。」
「そうでありますか。では……?」
「何をしにきたかって?はは、仲間集めだよ。」
そして胸ポケットから辻原は手帳を取り出し、一枚破いて僕に渡してきた。
「連絡先を教えてくれ。」
僕は少し戸惑い、紙切れを受け取る。
「君も警察官だろ?この陰謀にやすやすと身を任せるのか?」
辻原は虚を見つめながら、先程までの笑い顔を消し去った冷たい表情で言った。
「いえ、協力させて頂きます。」
僕も相応の真剣な表情を返す。そしてペンで携帯電話の番号を記した。
「しかし、陰謀とは?」
「追って分かるさ。詳しいことはこの立番が終わってからにしよう。今の会話じゃあ君は何も分かってないはずさ。」
再び辻原はその表情を明るくし、僕の肩をぽんと叩いてから、
「じゃあ、終わったら連絡してほしい。」
こう言い、去っていった。