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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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Wish プロローグ2

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燐祢率いる女子軍団は、暁の急所をゲシゲシと何度も踏みつける。
あぁ、惨い。なんて惨い。

「フハハハハ、去勢よ、去勢ッ!!!その役に立たないモノ捻り潰して使いもんにならないくらいにしてさしあげますわッ!!!さぁ、ひれ伏せやがりなさいッ!!クソ虫がッ!!!」

思いっきり大きく脚を振り上げ、暁の脳天目がけて踵を叩きつけた。

「ゴベァッ!!」

見事なL字に叩きつけられた暁は言葉にもならん断末魔をあげる。
うわぁ、見事に決まっちまったんじゃないか??生きてるか、暁。
見ればピクピクと身体全体が動いてるようなので、取り敢えずは生きてるようだ。

「お、おーい暁、大丈夫か??」

呆気にとられた茜は、俺のように取り敢えずは気づかわしげな声をかけていた。

「痛い…痛い…痛いぃいいいいッ!!!!」

しばらくしたら暁からはそのような呻き声のような声しか発しなかった。
お前にして彼女の蹴りは効いたみたいだな。
その光景を高みの見物をしていた彼女は鼻を鳴らしながら、

「あなたたち、このお馬鹿を懲らしめてさしあげなさいッ!!」

その言葉に続いて、彼女の取り巻きの後輩の女の子たちが参戦。

「こうなったら、みんなの思いをこの不肖暁、受け止めてやろうじゃないかッ!!さぁ、来いッ!!!どんな激痛も桃源郷・ザ・快楽に変えてやるッ!!!!いっくぞおおおおおおぉおおおおおおおおッ!!!」

むっくと立ち上がった暁は、一歩間違えば変態の道、一歩間違えばマゾの道、どっちしても救いのない未来しか待っていないすごい形相で手をワキワキさせながら突っ込んでいく。

「ガールズパンツァー!!イグニッションッ!!!」

「きゃあああああッ!!!どこ触ってるんですか!!やめて下さいッ!!!」

飛びかかった後輩の子に思い切りぐーパンチされる暁。

「こっち来ないでよー!!あっちへ行けー!!」

殴られた反動でもう一人の子の所によろめいた暁をさらに、思い切り足蹴りされる。

「これで仕上げですわ!!仕留めますッ!!!」

後輩美少女リンクコンボが繋がり、確実に体力を削られたであろう暁は何故か、とても幸せそうな顔をして崩れていった。
それかれもどれもこれも返り討ちに遭い、茜のファンクラブ一同は、鬼神の如く暁に蹴りをかましていた。

……あぁ、痛そうだ。
ミラクルコンボで軽く1000HITいったんじゃないか??

「へ……み…みんな…ナ…ナイスな…愛…だった…ぜ……がはぁッ!!!」

暁は、まるで使い捨てのボロ雑巾のようにがくっとその場に倒れた。
ば…馬鹿だ。激しく馬鹿なやろうだ。

「今のうちに!」

茜は、後輩の娘が暁に気をとられているのをチャンスに、ダッシュでその場から抜け出した。

「わりっ!春斗、こんなわけだから先に帰るぞ」

「あぁ、じゃな」

そう言って、すちゃっ!と右手を上げると、すごいスピードで走り去っていった。

「あっ!!お姉待ってくださいよー!!燐祢置いてかないでくださいまし!!」

茜と肩を並べるぐらいのもの凄い速さで彼女は茜を追いかけていく。
まぁ、なんつーかすんげぇ身体能力だな、あの子。脚力も中々なもんだったしな。

「あぁ!先輩、燐祢ちゃんも待ってくださいよ~!」

後輩の娘たちも茜の後を追っていってしまい、教室はすっかり静かになっていた。

「あいつもいつも大変だな」

まぁ一番大変な奴がここにいるんだがな。

「よー暁、生きてるか??」

「み…水…水を…ッ」

っと、こいつの場合は自業自得だな。

「貴様らに……今日を生きる資格は……グハッ!!」

俺はすかさず手とうを食らわす。
これ以上はいろいろと引っ掛かりそうだ。

「そーかい。まぁ、世紀末救世主ネタが出来るくらいなら大したことねぇな。ちょっくら寝てろ。さーて、茜も帰っちまったことだし、俺たちも帰るか」

かえでも教室にいることだし、かえでと一緒に帰るとしよう。
俺は肩をすくませると、気絶している暁をずるずると教室まで引きずっていくのだった。





教室に鞄を取りに行き、俺は昇降口で靴を履き替えていた。
ん?なぜ、かえでがいないかって?…あぁ、それはな…。
それは、教室でのことだった…。

「おい、かえで、一緒に帰ろうぜ」

「ん~ごめん、ちょっと今日は無理なんだ~☆」

「ん?何か用事でもあるのか?」

「うん☆今からアニメイトに行って、今日発売のコミックとゲームを買ってくるんだ~☆」

「そういえば、そんなこと朝に言ってたな。まぁ、それならしょーがないな」

「春斗も一緒に行くかい☆?来るならあたしは大歓迎だよ☆」

「いや、遠慮しとく。俺は眠いから帰って寝ることにするぜ」

「いや待とうよ」

「いや待たんが」

即答する俺。

「まぁ話を聞いてみてよ☆あ、もちろん、メロンブックスにも行くよ☆??」

「それがどうした」

「またまたぁ☆本当は行きたくてムズムズしてるんでしょ??」

「いや、まったく」

俺の記憶じゃその店ってさ…。
俺のメモリーよりも早くかえでが答えた。

「春斗も知ってると思うけど、コミックはもちろん、アニメやゲーム、音楽CD、同人モノを多く取り揃え、入るだけで心躍らせトキめかせ、目に余るくらいのその物量がそこにはある」

「あぁ、前にお前らに連れてかれた時にそんな感じだったな」

どこを見ても美少女系のポスターやら表紙やら、グッズやらで賑わってたっけな。
こういう専門店ってのは知ってはいたが、俺には経験のない店だった。

「そう、あの雰囲気に、店内に鳴り響く士気向上のBGMは思わず私の心を狂わせるんだよ☆」

「いや、待て。初めから手遅れなくらい十分狂ってるぞ、お前は」

「何デスとッ!?ヒドス(´;ω;)」

「実際結論、本当の事だろ??」

「くぅ…。まぁ何ていうか、春斗って意外にツンだね☆そー思うと、可愛く見えるのが不思議☆いつデレるんだろってネ☆じゅるり☆」

(*≡¬≡)←幸せそうな顔でみっともなく涎を垂らしてるかえで。

「ってやめんかッ!!!ツンでもねぇし、デレもしねぇよッ!!!不気味な妄想虚言をすんじゃねぇッ!!!」

いつの間にか持っていたハリセンで思わずかえでを引っ叩いていた。

「照れないデレない☆まぁ話戻すけど、それらグッズは余興に過ぎぬ☆その戦士の憩いの場の先を越えると、現れるはコンディション・レッド☆アラート発令ッ!!成人にしか立ち入ることを許されない、魅惑かつエロティックな癒しの場☆破廉恥上等、けしからん成人向け同人誌に、成人向けPCゲームが君を待ってるよ☆いざ、いかん聖地へッ!!18禁バンザイ☆☆」

ヽ(*≧▽≦*)ノ←めっちゃ目を輝かせて興奮するかえで。

「いや、やめておくよ。そういう楽しみはお前みたいに心から楽しみ愛してるヤツが行くべき場所だ。グッズたちもそれを望んでいることであろう」

冷静に、そして紳士的に断る俺。

「その聖地はお前たちのモノだッ!!俺が行くべきじゃないッ!!行けッ!!かえでッ!!いろんなもんぶっちぎって駆け抜けろッ!!!さぁ今一度、その勇姿を見せてくれッ!!!」

がっしりと力強くかえでの肩を掴む。
小刻みに震え、微笑を浮かべるかえで。
作品名:Wish プロローグ2 作家名:秋月かのん