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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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Wish プロローグ2

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「またか…ったく、いくら面倒臭いったって、インドア住民に走るのよな」

って、俺も人のこと言えないかもな……。俺もたまにこいつと遊んでたし。
まぁ、今度の時にでもこいつに、外で遊ぶ楽しさってのを教えてやる必要があるな。

「あはは。かえでは、相変わらずだな。あたしも特になかったかな」

「俺は…」

「そうか、全員、特になしと……」

凍弥はまるで暁など存在していないかのように、一方的に話を打ち切ってしまう。
そして、胸ポケットから何やら手帳のようなモノを取り出し、何かメモしている。

「っておい!ちょっと待てやコラッ!俺はスルーかよッ!!」

当然のように暁は暑苦しいオーラ全開で、不満と怒りが混ざり合った声で激怒する。

「おお、暁、いたのか」

然も今気づいたかのように振舞う凍弥。
…す、スゲェこれがポーカーフェイスかッ!?

「って今気づいたんかいッ!お前ぜってーワザとだろ、そうだろッ?!」

「ん?ハハハ。さぁ、どうだろうね~ハハハ~」

凍弥は、意味深に笑っている。

「それよりさ、凍弥はどうだったんだ?春休みはよ?」

「おい、待て!まだ、話の途中…ッ」

と暁はこの後の言葉は続かなかった。なぜなら…。
茜の豪腕鋼鉄の右ストレートが暁の左頬に直撃し、暁を沈黙させたからだッ。
そして、暁はまるでアクション映画のスタントマンのように、ダイナミックに華麗な舞い
を見せながら俺らの視界から消えていった。

ありがとう、暁。
そして、さらば、暁。
お前の犠牲はきっと時間の無駄であっただろう。

「まったく、うっとおしいヤツだな。まぁだが、これで静かになったわ」

そして俺は、うーん。
茜は怒らせない方が身のためだな、と決意するのだった。

「ふぅー。やっと静かになった。それで、凍弥はどうだったんだよ?」

「…ん、…あぁ」

あの凍弥ですら呆気に取られるとは……。
茜、恐るべしッ!!

「そうだな、俺は、ちょいと生徒会の仕事があったというくらいだ」

「それはご苦労なことで」

春休みまで使ってわざわざ活動することないだろうに。
他にすることはないのだろうか。

「そういえば、会長がお前に放課後に来るように言っていたぞ」

「は??またかよッ!?いいかげん諦めてくれないかな、姉さん」

「それは無理だと思うぞ~何せあの『会長』だからな」

「はぁ……」

ここで言われている『会長』とは、もちろん生徒会長のことだ…。
何で、生徒会長と俺が知り合いなのかというとだな…。
何を隠そう、生徒会長は俺の従姉だ。
…って、別にホントに隠してるわけじゃないからな。
生徒会は、今年に出来たばかりで人数もまだ会長と凍弥の二人だけらしい。
今までは、風紀委員が学園を取り仕切っていたのだが、それも手一杯なのだそうだ。
そこで、姉さんが生徒会長に立候補し、この生徒会を設立させたのだ。
まぁ、何ていうか凄い人だよ…。

「まぁ、そういうことだ。HRの後、生徒会に顔出してくれ」

「しょうがない、そうするよ」

まぁ、どうせ暇だったしな。
姉さんに挨拶して行っても別に困ることはないな。

「それにしても、生徒会長って何で春斗なんかにこだわるのだろうな?」

「『なんか』とは失礼な」

「確かにそうだよね~春斗と会長って従妹なんだよね~。うーん…。もしかしてとうとう従妹という壁を乗り越えて二人で手と手を取り合って禁断の…☆」

「おっ…かえで、お前も気づいたか。そう、実はなぁ~」

「んなわけあるか!ボケッ!」

「うぉおおおぉぉッ!羨ましすぎるぞテメェ~!明日香ちゃんという妹だけでは飽き足らず生徒会長まで手を出すとはッ!!言語道断、許さんッ!!シスコン魂はダテじゃないってかッ!?」

沈黙したはずの暁が再び復活し、話に加わってきた。
つーか、シスコンでもねぇからな、俺。
まぁ…打たれ強さだけは凄いモノだな。さすが伊達に茜の悪友してないな。

「いや…というかその前に明日香も姉さんも身内だから」

「はいはい。この暴走魔人はほっておいて他の話をしようぜ。馬鹿がうつる」

「暴走魔人言うな。俺がいつ暴走したっていうんだよ?」

「だって現に暴走してるだろ?現に今も、未来もな」

「ちょ、おまwwみ、未来ってどんだけだよッ!!!ひどくねッ!?」

「そうだ馬鹿。お前は、ただでさえ危ないんだからちょっとは自粛しろ!」

「うぅ…。日本男児として、いや、漢としての面子が…とほほ」

がっくりと肩を落とし、その場に泣き崩れる。
暁よ。そんなに男のプライドを保ちたいならそんなことしないで普通にしてろ。
少なくとも今よりは数段マシになると思うぞ。

すると、かえでが似つかわしいくらいに腕を組んで考え事をしてるのかうんうんと頷いていた。…今日は雨か。傘持ってきてないぞ俺。
そして、ぱっと目を開いて泣き崩れている暁に近づきこう言った。

「そうか、男はこうやって強くなっていくのか~。…暁、頑張れ~」

何を思ったかまるで他人事のように暁の肩をパンパンと叩いて励ましていた。

「いや、お前が言うな。お前こそもっと社会性を身につけて強くなれよ」

-キーンコーンカーンコーン

ちょうど帰りのHRのチャイムが鳴り、休み時間の終わりを告げた。

「うーす!HR始めるぞ~!みんな席に着け~」

それと同時に、俺たちの担任が名簿を肩にトントンと叩きながら教室に入ってきた。

「ん?暁~どうした?そんなとこで突っ立って?それに何か暗いオーラ全開だぞ」

「あ、気にしないで下さい。いつものことなんで」

「そうか、またいつものか」

先生…『いつものこと』で理解しちゃうんですね…。

「まぁ、とりあえず席に着け、東條。落ち込むのはそれからだ」

「へーい…」

暁は、トボトボと自分の席に戻っていった。

「よし!じゃ、HRを始めるぞ。委員長、号令」

そして、HRが始まった。





そして、あっという間に時は過ぎ、放課後だ。
言われたとおり俺は、生徒会室にやってきていた。

「さて、姉さんはいるかな」

ドアを軽くノックすると、すぐに返事が返ってくる。

「は~い、どうぞ~」

「失礼します。姉さん、来ましたよ~」

「お、春く~んだ♪よく来てくれたね、待ってたよ♪もし、万が一、来てくれなかったら、校内放送で『ヒナタン』連呼してあげちゃおうと思ってたところだよ♪」

「ハハハ…。来てよかったです」

この人は、小日向祢音さん。さっき話しに出ていた生徒会の会長で、俺の従姉だ。
俺より年上なのに、なんか年上ぽくないというか、何と言うか…。
でも、親しみやすく、誰にでも分け隔てなく接し、生徒の人望も厚い。
そういう面では、俺の憧れの先輩兼姉さんだ。悪戯好きを除けば。

「ところで、俺を呼んだのは、また、生徒会の勧誘ですか?」

「う~ん…確かにそれもあるけど、それは後ね~。今は、他に重要な任務があるんだよ♪春くんに♪」

「俺に重要な任務……?」

いったい何だろう?いつもパターンだと真っ先に生徒会の勧誘のはず……。
それを後回しにするとは、よっぽどのことにちがいない。

「それで、俺に何の用ですか?」
作品名:Wish プロローグ2 作家名:秋月かのん