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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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Wish プロローグ

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「えっへん♪♪かえちゃん、これはのっぺい汁っていうんだよ♪♪ボクの自信作♪♪」

にっこりと自信満々に胸を張っていう明日香。

「ん、おっぱい煮汁??何かエロいネーミングだね☆」

(≧▽≦)b ←こんな顔しながらグッジョブするアホなちびっ子。
我が家の朝の食卓が一気に凍った。
てか俺の表情筋の筋が一瞬でぶつ切れた。

「ってちげぇーよッ!!のっぺい汁だ、バカッ!!何をどうしたらそんなあり得んネーミングをチョイスしやがったんだ、一文字もかすってねぇよッ!!ってかエロそのものだろうがッ!!それとドヤ顔キラッ☆って顔も今すぐやめろッ!!!」

朝からアホな子に、しょうもない事でツッコんでしまった。
無駄なカロリー使わせやがって。

「え、ナニナニ!?朝からあたしを興奮させる気その気にさせる気??☆うっはーたまんねぇっす!!!ぶらぁあぼぉおおッ!!!」

フンフン荒い鼻息を噴出しながら興奮度を高めていく。
それ以前にかえでの脳の欠陥に将来への不安を感じざるを得ない。
大丈夫か、こいつ。歩く公然猥褻になりかねんぞ。

「(*´Д`)ハァハァ」

っておい、ほーら完全に人として落ちるどん底の道へのカウントダウンが始まったぞ。
てかもう踏み込んじまってやがる。
いいか、落ちるのはあっという間だが這い上がるのは大変だぞ??
わかるか、かえで。
って、話を聞け。そしてそこ息が荒い!!頬を赤くするなッ!!こっち見んな!!!
おい、涎を垂らすな、何を妄想しとるのだ、お前は!!

「ゲヘゲヘッ☆春斗ぉ、どしよ、昨日やったエロゲ思い出してムラムラしてきちゃったよ☆」

あぁ、ダメだこいつ。早くナントカしないと。
って、寄るな、懐くな、引っ付くな。

「さて、アホバカ談義はこれくらいにしてだ。まぁ、なんだ朝飯くらい自分の家で食えよ、かえで」

「んー、まぁ気が向いたらなぁー。もぐもぐ…」

まぁいいやと言わんばかりに、『遠慮』という礼儀で常識を垣間見ることもなくヤツの
おかずを食べる手は止まらない。

「その気が向くのが、いつになることやら…」

この図々しくも俺の家で朝飯を食っている奴の名は、橘かえで。
俺の家の隣に住んでいる隣人。ついでに幼馴染だ。
かえでの両親は共働きで、朝から夕方までいないため少なくとも朝飯は自分で何とかしなければならない。

だが、かえでは極度の面倒くさがり屋で、面倒だと言って朝飯も自分で作ろうともしない。ていうか、作らない。

『いい機会に家事でも覚えたらどう??よかったら、私たちが教えるよ??』

という明日香と冬姫の親切な助け舟を渡したにも関わらず、かえでは何と言ったと思う?

『いやいや、家事のスキルがないってのも萌え要素になると思うんだ☆何ていうかさ、こう…か弱い、いや儚い??一人で大丈夫かな??こいつには俺がついてやらなんとな!!というような守ってあげなきゃ☆マジックがかかるわけよ??うはっ、想像しただけで萌えてきた☆というわけで、あたしはNO家事を宣言するんだっ!!みんな、NOと言える
人になろうネ!!』

とワケのわからんアホの子のような事を言いやがった。何がNO家事だ。
萌えや何とかを理由に自分の甲斐性のなさをウヤムヤにするなんぞ、言語道断。
いつも萌えは愛だよ☆って言ってるヤツがよく言う。
萌えに対する冒涜ではないか??っと思わず問いたくなるのだが、如何せん俺はノンケな
一般人なのでこれ以上は何も言うまい。
それだけじゃねぇぞ、かえでは自分で起きれもしない。
それどころか起きようと努力もしない。

夜中ネトゲーやってるうちに寝オチしたり、新作のゲームやらマンガを夜通しで、読み明かしたりと端から寝て起きるなんぞヤツには皆無だ。意志すらねぇ。
おかげで大抵は、明日香か冬姫のどちらかが起こしている。
自分で起きるなんぞ滅多にない。一部の例外を除いてはな。
それは追々、イヤでもわかることになるだろうからこの場のテキスト量節約と作者の苦労を考え、緩和するべく語らないでおこう。

というか、今の余分な話で既に緩和できてないな。つーか初っ端からコレか。
まぁ、とにかくだ。
こんなダメな3大要素をもつかえでは、朝飯もこうして俺の家に来て済ましてるわけだが…どうしたもんだろうか。
まぁ何というか…本気でかえでの将来が心配だぜ。

そんな他人からすればどうでもいいようないらん心配をしてる俺を尻目に、

「ごっはん♪ごっはん♪あっさごっはん♪お海苔に、ごはんに、納豆乗せて、あまーい卵焼き並べたら、きわーめつけは明日香、自慢の汁物のっぺい汁♪♪はい、どうぞ、お兄ちゃん食べて♪」

明日香が何やら自作の歌を歌いながら新たな一品を引っ提げて戻ってきた。

「そういえば、ユキちゃん、先に学園に行ったよ。何か用事があるとか言ってたよ」

「んあ?…あぁ、冬姫にさっき聞いたぞ」

それを聞いた明日香はなぜか一瞬にしてむくれた顔に変貌を遂げていた。

「え、そなんだ。……あぁ!わかった~!お兄ちゃん、今日は、妙に早いと思ったらユキちゃんに起こしてもらったんでしょ~もう、しょうがないな」

明日香は、腰に手を当ててプンプンと怒っていた。

「春斗は、根っからのぐーたら魔人だからね~」

朝飯を食うに夢中になっていたかえでが横から話に入ってきやがった。
…そんな朝飯を夢中にたらふく食べてるお前に言われたくない台詞だな。
っていうか食いすぎじゃないのか?そんな図体とはつり合わん量食べたら腹壊すぞ。
そんなことを思いつつ、こいつに言い返してやるのだった。

「お前が言うな、それを言うならかえでは社会性ゼロ魔人だ」

「何デスと!?おうおう、それはさすがに言いすぎじゃないかい?あたし、そこまでひどくないよ」

「そうか?まぁ少なくとも俺はお前よりは常識人のつもりだ。そう『常識人』だ」

確証は持てないけどな…。でも、こいつより常識人というのは本当だ。
100人にアンケートたる統計を取ったら大多数は俺が常識人ということが立証されるだろう。

「でもまぁ朝、早起きするって何かいいな。ごはんが旨く感じるぜ」

「もう、早速、話を逸らすし~」

まるで自分に構ってくれないで拗ねた子供みたいに明日香は、むぅーっと頬をふくらませる。

「まぁ、お兄ちゃんがいつもこの時間に起きてくれるとボクも嬉しいんだけどね♪ほら、こうやって一緒に朝ごはん食べられるし♪」

輝かしいばかりの明日香の満面の笑みが俺の視界に映った。
そんなに俺と朝飯が食えるのが嬉しいんだろうか。朝は当然としてかえでもいるだろう
し、飯に夢中になっていても話し相手にはなるだろうから寂しくはないはずだが。

まぁ、ホント早起きして食う朝飯は美味であったので俺は思わずこう答えていた。

「そうだな、これは検討の余地がありそうだな」

「そうだよ~検討するんだよ~ついでにあたしも起こしに来てくれ」

何で早起きしてまで俺がお前を起こしに行かなきゃならんのだ。無駄な労力を使わせる
んじゃない。俺は無駄なことに貴重な時間も割くつもりもなければ労力を総動員させる
気もないんでね。

「それは、自分でなんとかしてくれ」
作品名:Wish プロローグ 作家名:秋月かのん