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今日もポラリスを見つめて

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第2章 通学



「ごめん、寝坊したわ。レポート間に合わないからノートだけ後で見せてよ。午後から学校行く。すまぬ。」

いつも一緒にいる友達に心配かけまいとメールをした。ここでようやくカーテンを開ける。ほら、やっぱり、白………

ウソだろ!晴れてる!何だよ!これじゃ学校間に合ったじゃん!最悪だ!絶対雪だと思ってたのに!
提出なんて間に合わないのに、なぜか俺は、慌てて家を出た。
レポートを見てもらえない悔しい気持ちがまだあったんだろう。昨日用意してた鞄にクシャッとレポートを突っ込み、ヘルメットを被り、軍手をして玄関で靴を履く。

ちょっと!和弥!!朝からバタバタバタバタって、何でもっと計画的に用意出来ないの!ほら、弁当も持ちなさい!本当にあんたは毎朝毎朝!!

『朝方まで、レポートやってたし!ちょっとうたた寝しただけだし!今日はのんびり出る予定でしたぁー!』

あれ?あんた原付で行くの?凍ってるかもよぉ…

『大丈夫だよっ!全然外白くないし。ゆっくり行くよ。
あ、いつも弁当ありがとう!行ってきます!今日そのままバイト行くから夜ご飯いらないから!』

はいはい。気を付けてね。

お母さんに見送られ、原付に股がる。お婆ちゃんが亡くなってから、お母さんは毎日見送りをしてくれるようになった。

人ってさ、最後のバイバイがいつかだなんて分からないもんなんだねってこの間夜に飲みながら呟いてた。

だからかな。毎朝俺を見送ってくれるのは。
それに答えるように手を振って出掛けるのは俺の日課だ。

原付に乗り、授業が終わった後で教授になんとかレポートを受け取って貰えうないかの言い訳を考えていた。嫌いな教授だが、レポートが未提出となると単位に響く。そうなると俺は、来年、教育実習に行けなくなる。こんな俺でも一応、工学部の片隅の教職課程で数学の教員を目指している。 工学系の授業は苦手だが、教職は好きだ。むしろ、教職がやりたくてこの大学を受験した。来年はいよいよ教育実習。俺の中で、そこは譲れない頑張らないといけない目標だった。