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ゾディアック 6

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宇宙と繋がっていた ミスラトの時代は滅び
1つの文明が終わった。

人間界が状態で存在していた次元から、相対で存在する自我を選んだ瞬間だった。
人が最初に選択した、意識の転生が始まった
カルマの始まり --------


廃墟となった後も、100年位 私はミスラトを離れなかった。


「 僕は君の瞳に太陽を見た・・ その輝きは今でもあるよ 」サラクエルは言った。   

「 昔女の子がいたの・・ その子は怯える事を教えられて育った
太陽は怖いものだと、太陽は敵でいつか太陽に傷つけられると
だから晴れた日に外で遊ぶのを怖がったとしても
その子のせいじゃない・・ 人は変わることなどできないわ 」私は言った。

「 僕らはお互いを分かりすぎていた
初めて出逢った瞬間から
その後の出来事は もうどうでもいい・・
すべて過去だ 何もなかったと同じ 僕の遠い記憶だけ 」

サラクエルは、私の手を取り宙に浮かび上がると
ミスラトを離れ、次の転生へと誘って行った。

青に立ち典る 至高の不可視を
どこまでも続く ミスラトの 深く青い空が広がっていた。 



~ 44 ~


鳥の声がして、目を開けると 私はシャロンでベットに横になっていた。
「 ミスラト・・ 」私は呟いた。

「Ⅰ魔術師のカード・・ 物事の始まり、起源を表します 」カーテンの向こうでラムカの声がした。
ミルラのタロッシュは まだ続いていた。
「 あなたの内に眠る感覚を信じ 意志を持って、あなた自身を創造して行って下さい 」 

遥か何千年もの昔 宇宙と繋がっていた ミスラトの時代
自分たちも地球の一部として生かされ 自然界の精霊の一つである事を知っていた時代
それが滅んだ時、人間界は状態で存在した次元から、相対で存在する自我を選んだ。
人が最初に選択した意識の転生の始まり。
カルマ -----  

「 私の内に眠る感覚を信じる・・? どうすれば 」ミルラは言った。
「 火の6・・ 垂直に立つ高い棒の先には、大きな蝶が留まっています。そこから垂れる長いリボンを
6人の妖精が持ちバランスを保ち、棒の周りを回っています。
この火のカードは、地上の物質を燃す火ではなく 空へ立ち昇る氣です。
最初に出した火の8のカードで言ったように、見える燃え痕では無く、立ち昇る熱気を感じて・・」

「 見える燃え痕では無く、立ち昇る熱気を感じて 」ラムカの言葉を心の中で繰り返した。
見える燃え痕は、転生の度に消え去る肉体。立ち昇る熱気は、転生の度に肉体を離れる魂だ

「 蝶は次元を顕し、2つの羽根は過去と未来を示します。
私達は自然界の一部として、見えない所から恩恵を与えられ 今を、生かされています。
答えは、全てに感謝と喜びを持って 今という瞬間を生きて下さい。そうすれば豊かな実を結ぶでしょう 」カードを見ながらラムカが言った。


シャロンの帰り、ミルラを送るナアナの車の中で 聞いてみた。
「 ミスラトって知ってる? 」
「 ミスラト?なあにそれ?・・なんか懐かしい響き 」ナアナが言った。
「 アトランティスから 人間界に移った、最初の転生の始まりだよ 」私は言った。

「 ああ、あります。古代文明の一つです。 天文学や幾何学が発達してたらしいですね 」
ミルラがネットで調べながら言った。
「 へー、私達の転生が始まった場所なんだ! 始まりはエジプトじゃなかったのね? 」ナアナが言った。

「 まあ・・ まだ、半分ヤツラに頼って、半物質状態だったからね。半熔解人間だよね・・ 」私は言った
「 半妖怪人間!?ヤツラって? 」ミルラが聞いた。
「 マリオンは天使の事をそう呼ぶのよ。バチが当たるよね 」ナアナが笑った。

「 ミルラはその時代、石の聖獣像だった。私のホットストーンは、今が初めてじゃなく
その原初時代に 聖獣像に捧げる神事だったんだ 」

「 なるほど・・ だから私は石が好きなんですね 」ミルラが言った。
「 鉱石は星のエネルギーを伝えるからね。ミルラ自身のエネルギーだよね 」
「 じゃあミルラ、マリオンに自分に合うエネルギーの石を見てもらえば?
今日タロッシュでも、自分の内に眠る感覚を知りたいって言ってたよね 」ナアナが言った。

ナアナは、私達をパワーストーンショップに連れて行った。
サファイヤ、モルダバイト、アメトリン ・・
ミルラに選んだ石は、どれも強烈なオーラを放つ存在感のある石だった。
全ての石を繋げ ブレスレットにして左手に付けた途端

ドックン・・ ブレスが大きく呼吸し、ミルラのエネルギーと繋がり流れ始めた。
その輝きは、遥かな人間歴を超え・・ 私達を、半物質 半エネルギー体で存在していた次元世界へと誘った

「 アトランティアン・ブレス 」私は言った。
「 星のエネルギーを感じるね 」ナアナが言った。


「 人は皆、星から生まれて来たんだ
空に、何億光年も離れた 遠い銀河の輝きを見る時
自分の中に眠る 小さな星を覗いて笑ってるんだ 」

ミスラトの時代、共にいたサラクエルの言葉が
今も 私の耳に残っていた。



~ 45 ~


店にまた 新しい子が入って来た。
細くスラっとした長身の、潤んだ大きな瞳が 何処か儚げな・・ 危い感じのする子だった。
リフレをしながら、彼女が受付で接客している姿を見ていると 私は何故かハラハラした。

「 あのモーリィて子・・ 大丈夫かな 」
「 履歴では、学校を卒業した後 就職して何年か働いてますし、大丈夫でしょう 」
ミオナが言った。
「 そう・・ あの雰囲気がそう感じさせるだけか 」

仕事を終え 更衣室で着替えていると、モーリィが入って来た。
「 シーシア フランシス 」私の口から 誰かが言った

「 シーシア ・・フランシスて? 」モーリィに聞くと、
「 さあ・・ マリオンさんが今 言ったんですよね? 」大きな丸い目をキョトンとさせ、モーリィは私を見つめた。

私が言ったけど・・ 私じゃない。それをモーリィに説明しようとしたが・・ 面倒臭いのでやめた。
「 シーシアて知ってる?」質問を変えた
「 西国タリアのシーシアですか?行った事があります。確かフランシスて聖人がいた場所ですよね 」
モーリィは答えた。

「 え?行ってるんだ!何で? 」
「 自分でも分からないんですけど・・ 以前タリア旅行した時、観光予定に無かったシーシアにも行って、暫くそこで座って過ごしたのを覚えてます 」モーリィは答えた

「 そうなんだ・・ フランシスは? 」また聞いてみた
「 十代の頃、その人の映画を観た事があります。すごく暗くて地味で・・ 
何であんな映画を観たのか、自分でも不思議なんですけどね 」モーリィは笑った
「 ふーん・・ そうなんだ 」私は言いながら
彼女は前世シーシアにいた! そう確信した。

車で店の駐車場を出るとすぐ 高台に結婚式場の大聖堂が見えた。
ちょうど帰りの夕暮れ時は ライトアップされた聖堂が、闇に浮かび上がり
遠くからもとても美しく見えた。
ノートルダムと書かれた紺色のリムジンバスが、客を乗せて式場に向かっていた。
作品名:ゾディアック 6 作家名:sakura