ゾディアック 6
「 これまで通りの発想で成果を期待していると、まるで裏切られたように感じるかもしれません・・
でもそれは、最高の裏切り、になるでしょう。
その時に、 がっかりした感情を味わったとしても、燃え痕を見つめるのではなく
立ち上る熱気を感じて下さい。心を柔軟に、遊び心と好奇心を忘れず、
情熱を持って前へ進んで下さい 」ラムカは言った。
「 心を柔軟に、遊び心と好奇心を忘れず・・ 見える燃え痕では無く、立ち昇る熱気を感じて 」ミルラは繰り返した。
「 アセンデットのメッセージは・・ 大地のエース、小人が大地から 大きな水晶のクラスターを掘り起し、虹が架かっています。
温めてきたものが、形になって姿を表します。計画が具体化したり、夢が現実になったり、
目標としていたものに手が届きそうですね 」ラムカが言うと
「 あ、実は私 夢中になっている物があるんです!」ミルラが言った。
「 待って、その・・姿を現したものは、キラキラと光っていて、とっても頑丈そうだわ 」ラムカが言った。
「 すごい!その通りです。私が夢中になっているのは、パワストーン・アクセサリーの創作です 」ミルラが言った
「 まあ、素敵!でも・・それはあくまでも氷山の一角にすぎません。
まだまだ、大きく、立派に育っていくようです。 想像をはるかに超えた大きさに・・ 」ラムカが言った。
カーテン越しに2人の会話を聞きながら・・ 私は鏡窓から 目が離せないでいた。
私の背後に 渦巻く銀河は、さらに大きく、さらに眩しく成長して行き 想像をはるかに超えた大きさになっていた。
私の眉間は熱く 光る菱形がクルクル回り始め、まるでレーザー光線を照射されたかのように
後頭部に突き抜けていった。
意識が薄れると同時に、鏡に映った私の姿も薄く・・透明に掻き消えて行くように見えた。
ソンナ・・ バカナ
アリエ・・ ナイ・・
概念は消えかけ、私という自我は薄れていった。
その時、外に留まっていた青い鳥が シャロンの窓をすり抜け
白い銀河の中心から・・ 消えかけた私の眉間の奥を通って・・ 飛んで来るのが映って見えた。
そして、私の目の前で、クルクル回ると 青いサファイヤに変わった。
ああ・・ そうか 私が見ているのは・・
外に 映しているだけだ・・った
消え行く意識の覚醒の中で、沢山の人の気配とヤツラの声が聞こえた。
「 彼らはおきている時、ボー・・ と彷徨っているようです 」
「 ここ ( 頭 ) を いじるだけじゃダメなんだよ・・ 」
ヒエラルキー天使界・・ 第9次元世界に
半物質 半エネルギー体で存在し、ヤツラは、常に共に居る。
次元の狭間から、私達が気付くのをずっと見守っている。
~ 43 ~
私は 銀河の中心に落ちていった
コレデ・・ ヤット ネムレル
モウ ナニモ・・
花のような 優しい旋律と香りに包まれながら 微睡んでいった
女神島の観音寺院で、ナアナと一緒に光に包まれた記憶が
一瞬過り・・ また消えて行った。
私の身体は 次第に薄くなって消えて行き・・ 光の素粒子に分解され銀河に溶け込み
1つとなって、大きく旋回した。
私は全てと1つになった ------
アリエルのナディアを感じ、同じメロディを奏でた
現象界のメロディ
「 この宇宙の中で、私達はどれ一つとして孤独に存在出来るものは無く
自覚のあるなしに関わらず・・ 全ては調和し エネルギーを交換しています
エーテル体は
全ての物質 あらゆる生命体から発する電磁場を繋ぐ
鉱石界 動物界 植物界 サブパーソナリティ
高次の自己・・
私達を取り巻く 多彩なサトルボディとCommunionして行く 」
モウ ナニモ・・
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意識が消えかけた時、腕を掴まれ 五感に再び、呼び戻された。
私は 熱い切出し岩の石台の上に 寝かされていた。
どっしりとした温もりを伝え 地球のエネルギーをダイレクトに感じた。
その岩盤は、地中の奥深くで溶岩が固まって出来た玄武岩だった。
私の身体は、オイルでベトベトに濡れ・・ 噎せ返る程の匂いが鼻についた。
「 この香りは・・ アルマアマル 」
かつて私達が 宇宙と一つの存在であった、遠い記憶を呼び起こさせる
目の前には松明の炎が、パチパチ音を立てて燃え上がり 揺らめいていた。
ドンドコ!ドンドコ! ドンドコ!ドンドコ!太鼓を打ち鳴らして
半裸の人間達が 狂乱し踊り狂っていた。
さっき、ミルラのセラピーで見えた 古代幻視の続きだった。
これは・・ 遥か何千年も昔、ネイティブと呼ばれる人達から始まった
神事として、祈りと共に行う 祀り事だ。
かつて人間は、信仰心を持ち 常に見えない存在を崇めた
自分たちも地球の一部として生かされている 自然界の精霊の一つである事を知っていた。
神と人間との間で執り行われたイニシエーション・・
私は、原初のホットストーンセラピーの只中にいた。
熱と匂いに 意識は朦朧とした。
見回すと、背後に あの巨大な猫の聖獣像が2体立っていた。
ミルラの前世・・
彼らは、この巨大な彫像を崇め、神事によりエネルギーを自分達に転写していた。
私は、どうやら・・ 神に捧げられたらしい。
古代エジプト時代より以前の、遥か何千年もの昔・・ 神の貢物だった前世が
今の私の ホットストーン・セラピーの原点だった。
私の身体は、どんどん高温に熱せられ・・ 命は尽きようとしていた。
不思議と 苦痛は無く・・ むしろ彼女にとっては、喜びのようだった。
今の自分では有り得ないが・・ 私の心は 神と一つになれる至福に満たされていた
死が訪れると同時に、私の側に 天使が立っていた。
懐かしい・・ あの夢の 声がした。
「 スーっと・・ 行くよ 」
同時に私の身体は 肉体を離れて、宙に浮かび上がると大きな彫像に宿り
崇めに来る人々を見守った
そのまま数十年が経ち・・ 時間は足早に過ぎ去った。
天使はずっと私の側にいた
「 サラクエル・・ 人は何処から来たの? 」私は聞いた
「 人は皆、星から生まれて来たんだ。
空に、何億光年も離れた 遠い銀河の輝きを見る時
自分の中に眠る 小さな星を覗いて笑ってるんだ 」彼は言った。
人々は 陰と陽2対の聖獣像を祀り そのポータルから豊かな宇宙エネルギーを受け取っていた
人間界は叡智に満ち溢れ物質的にも豊かに栄えた、それと同時に 自然界の一部として調和していた人間のエネルギーは、
受け取るだけから 次第に更なる力を欲し、他を搾取し支配するエネルギーが現れ始めた。
太陽が真っ赤燃えギラギラ輝いた ある暑い日、
戦いが起こり沢山の人間が殺された。
全ては破壊し尽くされ・・ 人々が崇め祈って来た 聖獣像も一体が完全に破壊された。
私が宿っていた 受容を司る陰の聖獣像だった。
それと共にエネルギーのバランスは崩れ
全てと調和し 循環していた人間のエネルギーは、見る間に欲望と怒りに変容し
激しく燃え盛る 憎悪のエネルギーとなって襲い掛かって来た。
全てを破壊し尽くし、残りの聖獣像も壊され、ポータルは完全に閉じられた。