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月が綺麗な夜だから。

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げっ。見えない、動けない、金縛り?ではないが一瞬で脚が止まった。
突然、部屋じゅうが真っ暗だ。
「ごめん。ヒューズがとんだみたい」
違ぁーう。
「ブレーカ落ちたんでしょ。レバー上げてくる」
「そっか。ありがとう。助かる」
おかあさん、わたしより怖がり。怖がりも遺伝するのかな。違う。そう思うことにしている。
暗闇の中、少し目を見開いて壁伝いに いち、にぃ、さん と行って はい、此処。この紐引けば ひ、引けばって何処よ? 手探りで触れては 紐が逃げる。かといって ここよぉーなんて手を掴まれたら……。考えるのやめよ。あった。引っ張って、復活。
「点けたよ」
リビングに戻ると、パーティのように器具の始動音や明りが点いている。といって肝心の暖房器は静かなのよね。寒い。
自室から着替えを抱えて 浴室へ向かう。もしかして 給湯器の主電源が入ってないとか?おかあさんならあり得る。見て来よう。
案の定、電源はいってますのランプは消えていた。我ながら感が冴えたな。
安心して 浴室に向かう。脱衣所で お疲れさまと服を脱ぐ。
既に 浴槽に溜められたお湯は ぬるく冷めていた。追い炊きをするのも勿体ないが 一応スイッチを押した。その間 シャワーで済ませることにした。
仮面を剥がすように 化粧を落とす。素顔のわたしは いかがなものか。まあ驚かれることはないだろうし、ましてや「あなた誰?」ってことはない!と信じたい。
洗顔ソープの泡に 油っぽさが溶けていくぅー。触れる掌に軽さを感じ始めた頃、ズバァーっと洗い流す。プハァー、気持ちいい。
顔を上げた時だった。足元でガタンともバシッとも聞こえる大きな音がして身を竦めた。
ラップ音? 温まりかけた背筋に 冷やかに感じたその音の正体は、外れかけた排水溝の蓋カバーだった。きっと掃除をしたあと、きちんとはまっていなかったのだろう。
おかあさん、いつも掃除ありがとう。でもきちんとはめておいてね。そんな気持ちだった。
さてと、シャンプーか……。べつに わたしはシャンプーハットがなくたって 洗髪はできる。もう何度も 何十回 何百回 もっとかな してきた。平気。なんだけど、いろいろと 起きる現象に わたしの想像・妄想のスイッチが入りかけている。
作品名:月が綺麗な夜だから。 作家名:甜茶