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ゾディアック 5

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「 これまで通りの発想で成果を期待していると、まるで裏切られたように感じるかもしれません・・
でもそれは、最高の裏切り、になるでしょう。
成果を得たその時は がっかりという感情を味わったとしても。燃え痕を見つめるのではなく、立ち上る熱気を感じて下さい。
心を柔軟に、遊び心と好奇心を忘れず、情熱を持って前へ進みましょう 」ラムカが言った。

「 見える燃え痕では無く、立ち昇る熱気を感じて・・ 最高の成果を得る 」ソフィアは繰り返した。


これは・・ ソフィアを通して、シャロンでセッションをする 私とラムカに対するメッセージでもあった
赤と青の、智慧の女神ソフィア
アルマ アマル「 魂の希望 」への凱旋、人が真の自分自身へと還る旅を導く
「 星を目指して・・ 」私は呟き 鏡窓に渦巻く漆喰の宇宙を見つめた。

 
「 大地の4・・ アセンデットからのメッセージは、贈り物、所有を表しています。
小人たちが力をあわせ、豊かさの象徴であるりんごの木を土台に、4本の柱を持つ家を作り上げています。
これが意味するものは・・ 仲間達と協力し合い、それぞれの道具を使いこなし、1つの大きな実りを築きあげて下さい 」

「 仲間?私は離婚したけど、独りじゃなく仲間が現れるって事ですか?」ソフィアが言った。
「 はい、この木の根のようにしっかりと土台は出来上がっています。
仲間と協力しあって、理想の実現化を築いて下さい。 但し、執着心には気を付けて 」ラムカが言った。


仲間が現れる・・ このセッションで 他にも誰か現れるという事か・・ 私は期待した。
執着心に気を付ける・・ 人である以上 分からないという意識の闇は仕方ない。
人の意識など最初から相手にしなければいいのだ・・人はアセンデットが使う象だ、
その象形を通して、可視的な物質世界を超え 無限に広がるイデアを知る。

私は目を閉じた。 
「 おまえの孤独は・・ 何処にある? 」風の声が聞こえ・・ 足元に、欠け行く月が見えた。


「 風のエース・・ 愛や力、勝利。これは伝説のカードです 」ラムカが言った。「 大きな石に刺さった美しい剣が描かれ、
その石には 剣を引き抜く者こそ、真の王なりと記されています。
我こそはと殺到する騎士、貴族たち。しかし誰一人として引き抜くことが出来ません。
そこへ、少年が通りかかり、何も難しく考えず、剣をひょいと抜いてしまいます。
王としての 彼の真実の人生がスタートし、運命が動き始めました 」

「 その物語は 読んだことがあります。周囲の反対、困難な状況や恐れを
勇気を持って克服し、真の勇者になった王の物語ですね 」ソフィアが言った。

「 これは あなたの本音を問うカードです。精神力、意志力、決断力を発揮して 運命に従い心の声に忠実に生き、マインドに打ち勝つことで、あなた自身の伝説が始まります 」ラムカは言った。


これから起こる事に対して・・ マインドに問う。
例え意識が期待する事に幻滅が起ころうと、これまで 自分の本当のパワーを信じていなかった心に、忠誠を誓えるか?
心は魂を映し、頭は心に誓っている。

闇の中から、微かに・・ 群集の声と鐘の音が聞こえ
赤と青のオーラを纏った女神が
右手に、疾風に棚引く大きな旗を掲げ、左手は「 前へ!」と指差していた。
聖堂騎士を率いて前進する ソフィアの姿だった


「 水の9・・ 答えのカードです。物質的安寧、満足。願いが叶う奇跡のカードです。
清らかな水が滝となって溢れるほど注がれ、水の中の人魚は満たされています。
空には大きな虹の橋が架かり ハートの天使が飛んでいます。
これまでの、苦難や忍耐が報われ、心が満たされるでしょう・・ 」ラムカが言った。
「 まあ、私幸せになれるのですね。嬉しいわ! 」ソフィアは喜んだ。


その時、闇の奥から ヤツの・・ 囁き声がした。


人間だけが判っていない・・

満たすを逆に取っている
器を満たすんじゃない
光として満ちている
状態として存在するだけ・・

外に見えるものは 幻
掴もうとしてはいけない
光が借りている器

おまえの光はここにある・・ 器が替わっても、永遠に


カラカラ・・ 扉が開く音がして、誰かが入って来た。
「 こんにちは・・ 」ナアナの声がした。



~ 38 ~


私は そっとカーテンを開けて呼んだ「 ナアナ・・ こっち 」
「 マリオン、凄い・・ 隠れ家的な雰囲気ある所だね 」ナアナがカーテンから入って来た。
「 これ窓・・ 鏡・・? 」正面の 暗い鏡窓を触りながら珍しそうに言った。
「 向こう側から、こっちの様子が見えるんだよ 」
「 マジックミラーなのね、ドラマで見た事ある!面白いね 」ナアナは燥いだ。
「 じゃ・・ こっちの衝立で着替えて 」
チリチリ・・ ベットの上のシャンデリアが僅かに揺れた。

シュルシュル・・ 服を脱ぐ音がして、ナアナがガウンを羽織って出て来た。 
「 お願いしまーす 」ベットにうつ伏せになった。
ナアナの小さな背中に アルマ アマルを塗った途端

ブワッ!!!激しい衝撃波が、鏡窓から起こった。
私は 飛ばされそうになり思わずベットに身を屈め・・ 再び目を開けると、
部屋全体が 蜃気楼のように揺らめいていた。まるで水槽の中にいるようだ。
奥にシャロンの薄暗い部屋が見え、手前には 別の部屋が映っていた。

整然と並んだ大きな切出し石がはめ込まれた、白い壁と床
ジャリ・・ 音がして、足元を見ると 赤い砂が滑った。私の足に被さって サンダルを履いた別の足が見える。
それも私の足らしい・・
「 なんて、リアルなの、此処は? 」石のベランダには大きな水溝があり
水路から水が流れ込んで、蓮の青い花が幾つも浮いていた。外には長いスゲ草が生い茂り
大きな椰子の葉がサラサラと・・ 乾いた風に揺れ、木漏れ日の眩しい陽光を水に反射させていた。

熱い太陽・・ 赤い砂、乾いた風の匂い・・ 緑あふれる大地、豊かな水・・
「 此処は・・ 懐かしいテーゼの都・・ エジプト 」ナアナと私の故郷だ。

白い石のベットに 薄い布を巻いた女が横たわっていた。小麦色の焼けた肌
その小さな背中に 私はオイルを塗り込んでいた。
「 このオイルの香りは・・ ナルド 」私は思い出した。フランキンセンスと共に 王家の儀式に使っていた。
この香りは・・ 脳を慰め、心臓に情熱を取り戻させる。

レク イプ・・ ネプ・エフ 
「 魂の望みを・・ 知る 」

低い声が響いた。振り向くと 鋭い眼光の・・ 男が腕を組んで立っていた。王家の儀式と知識を司る、教師だった。
この目は知っている 「 ラムカだ!」私は驚愕した。

「 ラムカが エジプトの時代に、ナアナと私の教師!? だから、ラムカにトートが付いてたのか 」
瞳の奥の光は、何度 転生を繰り返しても変わらない。

私は目を閉じ、塗油の儀式に集中した・・ 「 魂の望みを知る 」
深呼吸をして ナアナの背中を感じた。ドックン!ドックン!ドックン!! 心臓の音・・
作品名:ゾディアック 5 作家名:sakura