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ゾディアック 4

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「 概念が味わった 喪失体験を、印しとして・・? 」
「 そう、本当は失ってなんか無いんだ、ていう印しとして。・・だってあんたは、今生きて 私の前に座ってるんだから 」

鏡窓に映った ラムカの顔は、呆然としていた。
私は続けた「 近い将来は・・ この話を聞いた後、今だ。ⅩⅥ 塔は、負を負として解釈するのを止め、負は印しでしかなかったと知る。古い価値意識の崩壊の事だよ 」

ラムカは黙って聞いていた。 私は続けた「 風の2、二つの鬩ぎあう極の均衡とは、この相対世界の光と闇を
意志を持って自己統合して行くって事さ。物事の隠れた側面を現すイシスの神秘に導かれながら 」

「 分かりました!マリオンさん、私が闇を恐れる この恐怖心自体が・・ 今また 蘇ってここに戻って生きてる証なんですね。
だって私は、失った恐怖を覚えてるんですもの 」

「 そして最後のカード、風のクィーン 悲しみの喪失感を味わう、は・・ 」私が言いかけると
「 風のクィーン 悲しみの喪失感を味わう は、その概念自体が印なんだから・・ その恐怖感から、自由になるってことなんですね!? 」
ラムカが言った。

風のクィーンのカードは、冠を被った6羽の白鳥が、少女を運んでいる絵だった。城よりも高い上空を 羽根の生えた剣と共に。
白鳥や城、剣が 示す象徴は、志の高さや品格を表し 意志の強さを持てという意味だった。
6羽の白鳥は・・ 6枚のこのカードの事。

「 シャロンで一緒に タッチセラピーとタロッシュをしてみない? 」私が言った。
「 ええ! 私がマリオンさんと? 」ラムカは狼狽えた。
「 面白い事が起こりそうだ 」私は鏡窓を見つめ・・ コンシェルジュの面影を見た。

窓ガラスから差し込む 外の眩しい陽光が、風に揺れる街路樹の影を部屋の壁に映していた。
光と闇は 同時に存在し、二つの極の橋を 今、渡らせようとしていた。



~ 29 ~


永遠の今、風に吹かれながら
青い月の砂漠を、ラクダに乗って何処までも走った
後ろに、少女を乗せ
速く速く!もっと速く!!
月に照らされた、波打つ砂漠を
何処までも 走り続けた
 
時は来るもの・・
背中で少女が言った

時は過ぎ去るものではないのか?
私は 少女を連れ去る運命の時よりも、
もっと速く!もっと強く!走らねばならない

砂塵は舞い上がり・・

砂の中に 螺旋状の高い塔が現れた
時を操る守護天使の住むという
塔の一番高い窓には
銀色のトライアングルをクルクルと回す
白い天使の姿があった


時を止めてもらうんだ!!
私はラクダを駆って、塔の中に入ろうとした
突然 砂嵐が起こり、前に進めなくなった、先が何も見えない


時は来るもの・・

また、誰かの声がした


目が覚めた。
私は 天井を見つめた。「 時は来るもの・・ あれは誰が言ったんだろう 」
私が少年だった頃の エジプトの前世の夢だった。

シャワーを浴び、車でサロンに向かった。途中、川を渡る前に 変な形の建物あった。
赤銅色の十二面体の形をした家で、扉が1つ付いていた。アレックと看板があった。
「 いつ見ても おかしな建物だ・・ 何の会社だろう 」そう思いながら通り過ぎようとした時
木に花が咲いているのが見えた。

「 桜?十月に? 」見間違えだろうと思い、先を急いだ。いつも通り、時間はギリギリだ。
橋を渡り、螺旋状の坂を下りて行く・・ 今朝の夢を思い出した。
「 巻貝のような形の螺旋の高い塔だった・・ 時はくるもの・・ あの塔の天使が言ったのかな
トライアングルのような銀色の三角を回してた 」

広いバイパスに出ると、一気に速度を上げた。110キロを超え、車は振動でバラバラになりそうだった。
「 そろそろヤバイ・・この車 」アクセルを踏み込んで 速度は120キロになった。
ガーーーッ!壊れそうな音と振動で他に何も聞こえなくなった、前方の青空に いきなり大きなライオンの顔が現れた。

「 何だ?あれ・・ 」思った途端、「 アリオン・・ 」と私の口が言った。
概念がまた 騒ぎ始めた・・ 「 私が思ったのか?私が言った? 」私はナアナに電話した。
「 ナアナ、今 大きなライオンが現れたよ。アリオンだって・・ 」私が言うと
「 アリオンは アリエルの別名だよ、エジプトで私と一緒にいた 」ナアナが言った。

「 アリエル?ナアナの媒体で現れる天使は、エジプトでナアナの側に付いてた? だから今も共に現れるのか・・ 」
王家には 守護天使が付いていたと聞いたことがある。 でもそれも、本当に聞いた事があるのか、それとも私が最初から知っていたのか、もう分からなくなっていた。

アリオンという名の聖霊は、エジプトの前世、他国へ嫁ぐナアナと共に行った。彼女には王家の秘密を継いで行く使命があった。
ライオンのシンボルで現れる アリオンは魂である太陽を象徴し、現象界を司る。王女はその太陽の巫女でもあった。
去年 女神島の聖木にイシスが現れた時 ナアナの姿が巫女に見えた・・ あの時の記憶が蘇った。

店に着くと、ミオナが声をかけて来た。
「 マリオンさん、最近 同じ数字をよく見るんですが、何だと思います? 」
ミオナは 数秘占いに凝っていて 私に本を貸してくれていた。私は思い出し、借りていた本をロッカーから出して来た。

「 68 と 95 なんです 」ミオナが言った。
「 6は繋げるで・・8は女神に関係する満ちるを意味・・だから、機が満ちた事を教える数字だね 」私は言った。

「 9は 意識の高さ・・ 5の五感を表す数字と合わせて、五感を使ってそれ以上の感覚を知る て意味じゃない? 68と95で・・ 機は満ち、五感を超越した新しい世界を知る。て事だね 」私は自分で言いながら驚いた。


時は来るもの・・


今朝のあの夢で 塔にいた天使が言った言葉だ。
機が満ちた・・ 時を知らせるあの天使は・・
天使の名は・・

ガブリエル


何故かミオナの顔とダブって見えた。
そういえば・・ 1年前、月食が起こる事を教えたのも・・ コミュウを採用したのも・・
カヨの調子が悪いと言ったのも・・ ヒエログリフや 数秘の本を見せたのも・・
全部ミオナだ! 最初から・・

「 どうしたんですか?マリオンさん 」呆然とミオナを見つめる私に言った。
「 ああ、ごめん、何でもない。 この本ありがとう、面白かったよ 」
差し出したオレンジ色の本の表紙には、ケブラーと書かれていた。

突然、着信が光り、見ると メリエスからだった。ナアナが初めて紹介してくれたチャネラーの女性だ。
「 マリオンさんに紹介したい方がいらっしゃいますの。マグデ・マレーナに関わる方です 」とあった。
メリエスは 女神島に深く縁があり、よく女神からメッセージを貰うと言っていた。

月を足に敷く女・・ タロッシュⅡ 女教皇、マグデ・マレーナ
物事の隠れた側面を現すイシスの神秘に導かれ、また新しい扉が開かれようとしていた。
アロマランプの灯が揺れ、風が吹いて来た。 窓も無い部屋で・・


永遠の今、風に吹かれながら
時は やって来る



~ 30 ~


待ち合わせの場所に 5分前に着いた。
作品名:ゾディアック 4 作家名:sakura