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ゾディアック 2

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私は 誘導的な言葉はあまり関係ないような気がして来た・・
むしろ外からの誘導は、概念を刺激して頭の中をうるさくさせ、内側に繋がり難くさせた
「 人は 何時でも何処でも何をしていても 繋がれるんだ 」

星や月との絆は 人間歴としての自分が始まるよりずっと昔
遥かな時間の果てからあったのだ。
目を閉じると、小さく青い光が瞬いた・・
私の中の 小さな星が笑った。



~ 14 ~


ナアナと私は まるで異空間に迷い込んだように
フワフワとした 地に足が着かない心地で 次のブースへと向かった。

前世が魔女だったという女性の部屋だった。
客が20人はいただろうか・・椅子に座ると、カーテンの間から黒いドレスを着た 長い髪の女性が現れた。
どことなくメリエスに似ている気がした。
こういう仕事をしている人は 皆同じような雰囲気をしているのだろうか・・

彼女は張りのある声で言った。
「 今朝、夢に天使が現れて言いました。今日ここに、青い星を持つメッセンジャーが現れると。
私がその者の印しを天使に聞くと、彼女はクマラを携え女神の声を聞く者だと言いました。
心当たりのある人は 名乗り出て下さい 」と言った。

「 マリオンの事じゃない・・? 」ナアナが言った。
「 え?・・ 」面喰っていると「 だってクマラを持ってるのはマリオンでしょ 」と言った。
ザワザワと客がざわめき始める中「 静かに!本人には分かるはずです。早く名乗り出て! 」
魔女の女性は声を荒げて言った。
この女は短気だ・・ 私は戸惑いながら手を上げた。

魔女は「 何か言いたい事があるのでしょ?言って下さい 」と言った。
突然言われても・・ 私は彼女の剣幕に押されて、今まで起こった事を話し始めた。

「 4か月前 月食を見てから、天使の声や女神の声が聞こえるようになりました。
私は頭がおかしくなったと思い、聞こえて来る心の声を否定しましたが
女神は、外に見ようとしてはいけない。顕在は魔法で目に映るものは幻。
どんなに姿を変えても 真実はそこに隠されている。と言いました・・
煩悩即菩提、悟っていてもいなくても 真実は・・ 」言いかけた途端

「 あなたは、私のセッションを乗っ取るつもりなの? 」魔女がいきなり切れた・・
「 は? 」あっけにとられていると「 あなたは、ここにいる人たちが私に払ったお金で
私のセッションを乗っ取るつもり? 」と言った。

「 何?あんたが話せと言ったんじゃない! 」 喉の奥まで出かけたが・・ 「 すみません・・ 」と言って座った。
部屋がざわつく中、魔女が言った「 さあ、では気を取り直して始めましょう!皆さん、目を閉じて・・
私が本当の天使をあなた方に呼びます。天使があなたの背中に触れ 語りかけて来たら
怖がらずに聞いてください。大丈夫 あなた方は守られています・・ 」

私は 憤りで胸がムカついていた・・魔女の誘導瞑想の声など耳に入らなかった。
すると突然、白い光に包まれ肩を抱かれた気がした・・

「 顕在は1つの魔法・・大切なものはそこに 隠されている・・外に見ようとしてはいけない・・ 」
「 アリエル? 」私は問いかけた「 何故・・?何故私はいつも・・ 」言いかけて涙が溢れて来た。
一羽の大きな鷹が飛んで来て、私の肩に留まった。

「 夜明け前の暗闇の中を ヒタヒタ・・独り歩く者がいる
あなたは1人で行かねばならない。
誰が正しいかではなく・・ 何が正しいかだ 」声がした。

私は深い慟哭に襲われた。何千年も昔のあの少年の涙だった。

「 はい、目を開けて下さい。何が聞こえましたか? 」突然 魔女の声がした。
順番に皆「 大丈夫、あなたは守られていますと言われました 」
お決まりの言葉を口ぐちに言った。

誰も皆 心の奥では分かっているのだ・・
それを誰かに言ってもらいたい程 生きる事は過酷だと。
こういう場所に集まる人達の 捻挫した心を誰が責められるだろう

ボーデー ボーデー・・ ハーラー ボーデー
ボーデー ボーデー・・ ハーラー ボーデー

座っている人達の顔が・・様々に顔を歪め喜怒哀楽の表情を浮かべる
女神島の参道にいたアルハンに変わった。

雲の切れ間から 妖艶な強い光を放ち大きな満月が現れた
「 自分の力を恐れず他人の為に使いなさい
そうすれば 大いなる魂が、全ての人を通して 輝いている事を思い出すでしょう 」
女神の声がして、あの少年が立ちつくしていた。

「 じゃあ、次はあなたね。天使は何と言いましたか? 」魔女は私に聞いた。
私は胸が一杯で声にならず・・「 大丈夫、あなたは守られています・・ 」と答えた。
魔女は満足げに微笑むと「 さあ、次は・・ 」と言った。

外に出ると、すっかり日は暮れていた。 ライトを灯し夜の高速を走った
車の中で、ナアナと私は少し疲れていた。

「 面白かったね、色んな人がいるもんだね 」
「 前世が見えたのは凄かったよね。エジプト、私達の転生の始まりだったのかもね 」ナアナが言った。
「 女神イシスは 最初から側にいたんだね。どの転生の時代もずっと・・。だから月食の日から始まったんだ 」私は言った。

「 マリオンはエジプト時代、イシスに仕える神官だったんだね。私はエジプトを離れたくなかった・・ 」ナアナが言った
「 別れが辛かったね・・ 」私は少年の心を思い出してまた胸が痛んだ。
「 でも、他にも一緒に転生してるよね私達。またこうして廻り逢えたんだもの。他の転生は誰だったんだろう・・ 」
「 あの魔女の人、夢で天使の言葉を聞くって言ってたよね・・マリオンみたい
マリオンも過去世は魔女だったりして・・ 」ナアナが言った。

「 違うよあんなヤツ!人に言わせといて乗っ取るつもりかとか・・訳わかんないよ! 」
「 本当だよね、意味分かんないよね 」ナアナは笑った。
「 なんで助けてくれなかったのさ! 」私は腹が立って来た。
「 ごめんごめん。そんなに怒んないでよ、怒るとよけいあの魔女みたいだよ・・ 」ナアナが小声で言った。
「 え、何だって? 」私は憤慨した。

突然 左手の山の上に 赤と青の光が点滅する 大きな丸い飛行物体が浮かんでいるのが見えた。
「 何・・あれ? 」ナアナと私は釘ずけになった
高速道路は緩いカーブを描き、大きな飛行物体の側面に周りこんでいった。

「 きっとあの山で何か事件でもあったんじゃない?ヘリが取材に来てるんだよ 」私は言った。
突然 車は大きくハンドルを取られ、私もナアナも倒れ込みそうになった。
「 キャー!あれ何? 」「 分かんない!・・何あれ? 」2人で叫んでいた。

赤と青の光が点滅する大きな飛行物体の側面には、予想していたプロペラは無く・・
後ろまで楕円の大きな丸い形をしていた。巨大なUFOだった。

後ろの車がクラクションを鳴らした。隣の追い越し車線を走る車も
私達の危険な蛇行に怒ってこっちを睨んだ。
周りの車には UFOは見えていないらしい・・
ナアナも私もキャーキャー!興奮して騒ぎながら飛行物体を目で追いかけた。
UFOは急に上昇を始め、空高く上がると 星か飛行機か分からない位い小さな光になった。
作品名:ゾディアック 2 作家名:sakura