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ゾディアック

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何故 私に、それが天使で現象界を司っていると解かるのだろう・・ 分からなかった。
でも、頭で考えて理解出来なくても、もう私達は先に進むしかない。
選択肢は、それ以外には無かった。

8月28日の月食から始まった変化を・・ 受け入れて前へ進むしか


~ 2 ~


暗い地下トンネルを誰かに追われて逃げていく・・
カンカンカンカン! 靴の音が鳴り響く
凄い速さの追手は、あっという間に私に追いつき襲って来た!
全身メタリックの冷徹な女が私に飛び掛り、剣を振り下ろしたが
間一髪でかわした。


目覚めた時汗びっしょりだった「 嫌な夢・・ 」
あのサイボーグのような女は一体何だ・・?
私はシャワーを浴びた。

店に着くと 予約表は一杯だった。
「 今日は 大繁盛だね 」
「 はい、忙しい日曜日になりますね! 」店長のミオナは嬉しそうに言った。
「 そうか 今日は日曜日だ 」ナアナが女神島に、聖木の取材に行くと言っていたのを思い出した。

ボディセラピーの客が着替える間、バックに戻ると 携帯が光っていた。ナアナからだ。
「 マリオン!何百本も木のある森の中で一番美しい木を探して来いって・・無理だわ!誰も知らないって 」
読んだ途端 キャーーーー!・・甲高い激しい耳鳴りがして、私はナアナに返信していた
「 メネトーナが導く 」

最近は起きている時でも 変性意識状態になる事が多くなっていた。
「 メネトーナて誰だ!? 」心の中で自分に問いながら「 聖地を守る精霊 」と同時に返る。
今のは、私が思ったのか?私が答えたのか!?知らない事を!?
グラッと 揺れた・・地震。
でもこれも・・きっと私だけが揺れてるに違いない。どうせ誰も解ってはくれない・・

頭の中で 思考が追っ駆けっこをしていた。グルグルグルグル・・私の中のまともさが今起こっている事を
常識で捕まえて、何とか理解してやろうと戦っている。
朝見た夢、あのサイボーグの女は・・ まともな私の意識。 私の既成概念だった。


うつ伏せになった客の背中を触ると ドックンドックン・・客の鼓動が伝わって来る。
私の耳鳴りと振動は鼓動と一つになり、高い金属音は どんどん高音に達して
次第に静かになっていった。

目を開けると、客の身体に地球が重なって見えた。
手の感触は確かに身体を触っているのに、同時に私は地球に触れていた。
背骨には、大きな大樹が見えた。
幻覚を見ているのか・・

「 これは一体何? 」問ったと同時に
「 現象界の天使アリエル 顕在はひとつの魔法 目に映るものは幻。
どんなに姿を変えても、大切なものがそこに隠されている 」と聞こえて来た

ふと 自分の目の色は今何色に光っているのだろう・・と思ったがそこに鏡はなかった。
キーーーーーン ・・・・
高すぎる周波数は もはや不快な耳鳴りや振動を凌駕して、感じられなくなっていた。
私は深く静かな陶酔の中に包まれた。

セラピーを終えバックに戻ると、またナアナからメールが来ていた。
「 マリオン凄いの!メネトーナていう三つの光が現れて こっちに来いて言うから
付いて行ったら、川をザブザブ渡った所に 大きな聖木があったわ! 」

メールに添付された写真を見て驚いた、さっきセラピーで客の背中に現れた大樹だった。
ナアナと私は 別々の場所で全く違う事をしていながら、同じものに繋がっていたのだ。
「 不可解に思える事は まだ人が知らないだけなのかもしれない・・ 」

コミュウからメールが来た「 今 相撲大会に来ています 」
「 ああ、コミュウも女神島に帰ってたんだ。2人が今女神島にいる 」
女神島で初めて 有名力士を呼んだ相撲大会があるから帰って、この前私が聞いた観音の事をお父さんに聞いてみる
とコミュウは言っていた。

私はナアナに「 コミュウが女神島にいるよ。相撲大会の場所に行ける? 」と聞いてみた。
すぐにナアナから返事が来た「 今、闇の戒壇をしてるんだけど・・真っ暗なの。十一面観音の真下にあるんだけどね 」
「 ナアナ、観音の場所に行ってるの!どう?何か感じるものがある!? 」私は目を閉じ、ナアナと同じものを感じようとした。
「 それが・・真っ暗なのよ!本当に何も見えない、これっておかしいよね!? 」
ナアナの返事と共に

「 見ようとしてはいけない・・
顕在はひとつの魔法 目に映るものは幻。どんなに姿を変えても、大切なものがそこに隠されている 」
さっきボディセラピーで来たアリエルの幻がまた聞こえた。

コミュウからもメールが来た
「 マリオンさん、父が女神島が観音の島かどうかは分からないけど、相撲は神話から来てるって言ってましたよ 」
相撲の神話?前コミュウと話していた時、神話や寓話的な話を真実の話として聞く・・と言っていた幻聴を思い出した。
私も早く女神島に行きたい!そう思った時

店のスタッフが私の前に転がり込んできた。カヨだった。
「 マリオンさん、カヨが気分悪いんで代わりにお願いできますか? 」ミオナがカヨを抱えながら聞いて来た
「 ああ、オッケー!いいよ・・カヨ大丈夫? 」見るとカヨの顔は真っ青だった。
最近 店の隅にうずくまってる姿をよく見ていた、彼氏との関係がうまくいってないらしい。
私はカヨの代わりに客に入りながら、ずっとさっきの言葉が頭に響いていた。


外に見ようとしてはいけない・・
顕在はひとつの魔法 目に映るものは幻。
どんなに姿を変えても、大切なものがそこに隠されている。


~ 3 ~


空を見ていた
どこまでも深く吸い込まれそうな青に
山の稜線から雲が立ち上っていく・・

あそこに立てば 空の雲にも溶け込めるだろう
山の向こうに広がる別の世界も見渡せるのだろう
その時 雲の間から懐かしい声がした、13歳のあの朝と同じ。

「 僕は君の瞳に太陽を見た その輝きは今でもあるよ 」

私は言った
「 昔女の子がいたの その子は怯える事を教えられて育った
太陽は怖いものだと、太陽は敵でいつか太陽に傷つけられると
だから晴れた日に外で遊ぶのを怖がったとしても
その子のせいじゃない・・人は変わることなどできないわ 」

彼は答えた
「 僕らはお互いを分かりすぎていた
初めて出逢った瞬間から
その後の出来事は もうどうでもいい・・
すべて過去だ 何もなかったと同じ 僕の遠い記憶だけだ 」


青に立ち典る 至高の不可視を
どこまでも続く 深く青い空が広がっていた


「 マリオンついたよ! 」ナアナに揺り起こされて
目覚めると、窓に光る海と赤い鳥居が近づいて来るのが見えた。
今日はナアナと一緒に女神島に船で渡って来たのだ。私はこれから起こる事を思うと胸が高鳴った。
桟橋には コミュウが出迎えてくれていた。
「 ようこそ マリオンさん!ナアナさん 初めまして。どうぞ家で父が待っています 」

島の入り組んだ路地の石畳みを、中腹まで上った所にコミュウの家があった。
古い町並みの歴史のありそうな古民家だった。
コミュウの部屋の窓からは 海に浮かぶ赤い鳥居が正面に見え、最高のロケーションだ。

「 最高のオーシャンビュウだね!ここでサロンを開けばいいのに! 」
作品名:ゾディアック 作家名:sakura