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Ramaneyya Vagga

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 俺は、大きい黒パンとミルク瓶を抱えて、丘の上の小屋へと戻る。林檎樹の梢に風がわたり、小枝と葉はきらきらと歌う。鳥たちは樹木に羽を休め、くつろいでさえずる。西のかた、森の中からは、渓流の優しいざわめき。そして、光り輝く空があるのみだ。
 俺は、林檎樹の幹にもたれて座り、黒パンと林檎をかじる。ああ、このひとときこそ、俺が果てしない苦役と不断の屈辱とを引き換えに、ようやく手にすることができた、僅かばかりの自由と幸福――俺の祖国であり、俺の心の全てであった。
 やがてひとりの郵便屋が、俺に一葉の葉書を配達する。俺はそいつを握り潰して屑籠に捨てた。なぜと言えばそこには、外国と戦争するから貴君を徴兵するだとか、入営の日と兵営の住所だとかがもっともらしく書いてあったりしたので、俺はまたあの惨めな押し売りのたぐいだと思い、陶酔を遮られたことに、腹を立てたからだ。


5.あたしはさっそく六郎太を調べたわ

 あたしはさっそく六郎太を調べたわ。先日はあたしもうグニャグニャでよくわかんなかったからまずデイモンくんに改めてスカイプ・インターヴュー!
 「で赤池六郎太って結局なにもんなの?」
 「なにもんって……O.K. じゃまあここでもみなよ」
 デイモンくんがチャットでアドレス送ってきた。
 http://www.bhakticyogincowboy.com
 バクティ的なヨーガ行者である牛飼い。おかしな言葉もあったものね。
 「なんなの?バクティック・ヨーギン・カウボーイ」
 「バクティってのは、ヒンドゥー語で献身とかいう意味だね。まあ、いろいろ深い意味がある言葉らしい」
 「彼から聞いたの?」
 「『伝統主義者の経済的問題』にバクティの話が出てくる短編があるし、『バクティック・ヨーギン・カウボーイ』はまさにこの語についての物語だしね」
 「そっか、小説家だったっけ」
 「芸術家としてはそれがメインの人だね。DJやライヴプレイは片手間だって言ってたよ。
作品名:Ramaneyya Vagga 作家名:RamaneyyaAsu