小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かざぐるま
かざぐるま
novelistID. 45528
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

欲望の方舟 ~選ばれしモノたち~

INDEX|80ページ/96ページ|

次のページ前のページ
 

『地下施設・A‐ブロック』 同日


 竜崎真也は図書館に来ていた。
 だだっ広い図書館に入館者は五人もいない。昼食後はここでくつろぎながら、古代の歴史書を読むのが日課だった。知的でハンサムな容姿なのだが、それを隠すようにボサボサの髪型に加え、口髭を生やし伊達メガネまでしている。MICで彼の部下だった者でも、余程注意深く見なければ彼とは気づかないであろう。
 MICに入社する前の竜崎は、政治の世界を目指しエリート官僚コースを順調に走っていた。
 しかし十年前にどういう訳か出世を諦め、MICに中途入社したのだ。MICに入ってからはめきめきと頭角を現し、カリスマ的なリーダーシップをとるようになっていった。社長の吉永からも信頼を得て、将来的に日本本社を任されるのではという噂が立っていた。
 そして数年前に、サラの上司として部下500人をかかえ極秘プロジェクトの総責任者となる。
 極秘プロジェクトとはすなわち、『地下シェルターの建設』だ。このプロジェクトが決まった時、彼はある決心をした。
(どんなことをしても、ここに入って生き残ってやる。俺は他のやつらとは違うんだ)と。
 颯太からこれを取り上げる事は簡単だった。負けず嫌いな竜崎は、若造にプレゼンで負けた恨みを決して忘れていなかった。いくら颯太が天才でも、階級社会においては権力を持つものが最終的に勝利するのだ。あらゆる手を使って責任者の地位を手に入れると、サラにも計画の一部しか告げず都合のいいようにデータの改ざんをした。まず、彼は新しい名前とコードを手に入れた。
『杉崎真也』という名前を。
 マーカーに特殊な信号を出す装置を付け、セキュリティに引っ掛かることもなく入所できた。サラが消去された経緯も知っていたが、特に悲しんだ様子もない。
 彼が少し手を貸せば彼女は死なずに済んだであろうが、、もしかしたらカメレオンの性能を確かめる目的で、わざと放置したのかもしれない。
 竜崎は氷のような冷たい心の人間だったが、彼にも心を許す唯一の存在があった。
 彼のたった一人の子供『拓哉』である。妻とは性格の不一致から離婚をしたが、拓哉だけは目に入れても痛くないほどの可愛がりようだった。
 ハルマゲドンの情報は、政府筋とMICの極秘情報網などによりかなり前から知っていた。だが、子供はこの施設に入れることは出来ない。いかに天才竜崎の力を持ってしても不可能であった。そこで彼のとった行動は、驚くべきものだった。

 天才は『盲点』をついたのである。