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かざぐるま
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novelistID. 45528
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欲望の方舟 ~選ばれしモノたち~

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 そして……。一度だけ大きく息を吐くと、ボビーの大きな身体はもう動かなくなってしまった。

 三十分後――飛行機はエターナルの近海を旋回していた。
「太田さん、悲しい、とても悲しい知らせがあります。ボビーが事故にあいました」
 颯太は平静な声を出したつもりだろうが、その声は細かく震えていた。
「なに!? 状況は?」
「死亡しました」
 機内の全員が、その言葉を聞いてぴくっと肩を震わせた。
「……分かった。だが今はエターナルに無事に着陸することだけ考えろ。六十秒後にL・D・Fを一瞬停止する。くれぐれも気をつけてくれよ」
 太田の言う通り、確かに今は全員が無事に着陸することが先決だ。これ以上犠牲者を出す訳にはいかない。
 アイリーンの正確無比な操縦により、三分後セスナ機は松山空港に無事着陸した。
 着陸後すぐに飛行機と防護スーツの除染が行われた。あれだけの放射線にさらされたにもかかわらず、三人の肉体への汚染レベルはゼロと判断された。
 チーム『ゴースト』は一名の尊い犠牲者を出したが、決死の作戦は成功をおさめた。電力は順調に回復し、エターナルと地下施設の当面の問題は解決した。
 この作戦のヒーローであるボビーの葬儀は、次の日に盛大に行われ、アイリーンが日本式の弔辞を読むと多くの人が涙した。太田をはじめ誰も男泣きを隠さずボビーの魂に長い時間祈りをささげた。
 喪服を着たアイリーンの首には、ボビーの首からそっと外したタグがかかっている。
 それは、別れを惜しむ仲間たちに手を振るようにゆっくりと揺れていた。