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『地下施設・メインフレーム室』　クリスマス　同時刻


　ここはＮｏａｈ２のメインフレームだ。とんでもない電力を消費するが、世界最高クラスの処理能力を持つ『ブレインシステムＡＩ』が格納されている。
　クリスマスに日付が変わったこの瞬間から、“施設の絶対支配者”であるＡＩシステムが目を覚ました。
　まるでこの時を待っていたかのように身震いし、本当に意志を持っているかのように低い唸り声をあげ始める。まずは選別システムのデータを参考にして、最適な組み合わせを内部ではじき出した。
　男０００１-［２］×女００１５-［４］＝１５％
　男０００１-［２］×女０１２２-［３］＝１１％
　男０００１-［２］×女０４６５-［５］＝１９％
　全ての交配の組み合わせが一瞬でモニターに表示される。更にカメレオンから収集したデータを照らし合わせて、性格など相性に特に問題が無ければ『交配が決定』となる。
　例えば、この男０００１-[２]と、選ばれた女性適合者との組み合わせで、最高の結果は２５％程度だとしよう。
　驚くことに男０８８８-[ＡＤＡＭ]は、どの女性適合者と組み合わせても、『最低でも』３０％という高い数字が算出された。
　だが、［］内の数字が大きければ良いというものでもないらしい。たまに生まれる『突然変異』があるからだ。これを考慮し、全ての可能性をこれからＡＩシステムははじき出していく。
　次にＡＩシステムは、“ただちに交配しなくても影響がない”と思われる医師四名を選び出し、Ｄ‐ブロックに送る決定を下した。
　本日昼の十二時をもって最初の『交配プログラム』が発動される。このプログラムが発動されたら、施設内の人間はすべてＡＩの意志に従わなければならない。
　従わないものは異物と判断され……ある日突然消えてしまうかもしれない。